シラバス
入学のご案内履修登録
数学的思考とは何かのサムネイル

数学的思考とは何か

[2025年度開講]

科目の概要

古代から現代までを貫き、ますます多くの分野でその重要性が明らかになってきている数学的思考。「任意の」と「ある」という二語を切り口として数学の本質に迫った名著『数学入門』(著者は数学者であり後に偉大な哲学者として知られることとなったA. N.ホワイトヘッド)を手掛かりとしつつ、その後の数学の発展をも踏まえた現代的な立場から「数学的思考とは何か」を探求していく。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
BSC-1-B1-0204-004
到達目標
ホワイトヘッド『数学入門』を手掛かりとして「変数」および「任意の」「ある」といった数学を貫く根本概念の意味を理解し「数学的思考」の本質を体得するとともに、100年以上前のホワイトヘッドの記述を現代的な立場から批判的に読むことを通して、受講者ひとりひとりが自らの数学的思考を育て役立てる方法を見つけられるようになる。
教科書・参考書
  • 【教科書】オリジナル教材(数学入門(A.N.ホワイトヘッド/高橋達二・長谷川珈訳))【参考書】〈現実〉とは何か(西郷甲矢人・田口茂/筑摩書房2019)、数学その形式と機能(S.マックレーン(赤尾和夫・岡本周一訳)/森北出版1992)
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学修内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
数学の抽象性と変数の概念

数学が抽象的「だから」役に立つこと、そして「変数」「任意の」「ある」という数学を貫く根本概念の意味を理解する。

2
数学の応用方法

「なぜ」「どのように」数学は応用可能なのかを理解する。具体例として、重力の法則や電磁気学の誕生における数学的思考の役割を考察する。

3
力学

数学の応用の典型例としての「力学」の概要を歴史的な経緯を踏まえて説明するとともに、ベクトルや速度・加速度の概念を理解する。

4
数学における記号の使用

数学において簡潔な記号がいかに偉大な役割を果たすかを、「0」をはじめとする根本概念を例に理解する。

5
数の一般化

「数」の概念がいかに拡大してきたのかを概念的に振り返るとともに、数学が「一般性」の追求という側面を持つことを理解する。

6
虚数

「虚数」のアイデアを説明するとともに、「複素数」を「順序対」の概念を用いて構成し、その「足し算」を定義するとともに、図形的意味を理解する。

7
虚数(続き)

前回に引き続き、複素数の「掛け算」を定義し、その図形的意味を考察することを通じて、複素数の概念の重要性を理解する。

8
座標幾何学

「座標幾何学」が数学的思考の発展にどれほど大きな貢献をしたかを例に、数学における「方法」の重要性を理解する。

9
円錐曲線

古代以来の「円錐曲線」の理論が結果的に近代の物理学の基礎を与えた歴史を例に、純粋な好奇心による探求が驚くべき応用を持ちうることを理解する。

10
関数

数学においてもっとも根本的な「関数」の概念を理解する。さらに、「任意の」「ある」を用いて「連続関数」の概念を明確に定義できることを理解する。

11
周期性と三角関数

自然現象を捉える上での「周期性」の根本的な役割を考察するとともに、周期性を扱う上でもっとも根本的な「三角関数」の概念を理解する。

12

数列、数列の和、極限、収束と発散、関数列、一様収束、指数関数といった根本概念の定義を理解する。

13
微分法

「微分」のアイデアを理解するとともに、その厳密な定式化がいかに困難であったかを知る。さらに「微分法」の厳密化において「任意の」「ある」が果たす本質的な役割を理解する。

14
幾何学と量

長さ・面積・体積といった「量」、さらには「時間・空間」といった数学の応用において不可欠な諸概念の要点を理解する。

15
まとめと展望

これまでの講義の内容をまとめるとともに、『数学入門』以降の現代数学の流れや現状、そして未来について展望する。

関連科目