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科目の概要

人間の内面に光を当てて、心の働きについて理解したい。心理学は、そのような知的興味から誕生した。心理学では、個人(個体)の行動を観察することを重視しながら、なぜ人々はそのような行動をとるのか、なぜ人によって行動パターンが違うのか、人はどのように他者と関わっていくのか、といった問いに答えようとする。ここでは、遺伝的素地と環境との相互作用によって発達、変化していく心の側面を踏まえつつ、心の働きを解説する。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
BSC-1-B1-0204-009
到達目標
本授業を通して、心の内面を知るための科学的営みとしての心理学の方法論を理解し、科学的心理学と偽心理学の区別ができるようになる。また、心理学の各分野のトピックを学ぶことにより、自分の心のあり方が理解できるようになる。さらに、幼児やお年寄りなど自分と異なる世代の人の心のあり方にも想いを馳せられるようになる。
教科書・参考書
  • 長谷川寿一・東條正城・大島尚・丹野義彦・広中直行『改訂版はじめて出会う心理学』有斐閣,2008年
授業時間外の学修
次回の学習内容について、あらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。授業後は、各回のテーマで興味を持った事項についてさらに調べ、少なくとも二時間ほど学習を深めてください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
心理学とは

心の働きを科学的に解き明かす学問である心理学の基本的な特徴を、研究の対象、方法などから学ぶ。

2
心理学の歴史

現在の心理学が形成されるに至った歴史を学ぶことによって、心理学という学問の強みや弱さを知る。

3
心の進化:言語は人間だけのものか

生物学的存在としてのヒトを進化の過程で眺め、進化の近縁種であるチンパンジーやボノボなど他の動物種と比べることで人間の心の働きへの理解を深める。

4
心の発達1:愛着の形成と外界探索

生まれたばかりの赤ちゃんにとって、自分を守ってくれる人を見分け、その人と絆を形成することは、生きていく上で極めて重要である。ここでは、人生初期の発達的課題である養育者への愛着の形成と外界探索について学び、虐待を含めた親の養育態度の影響を考える。

5
心の発達2:脳と言語の発達

胎児期から幼児期にかけての脳の発達と知的発達について学び、生物学的ハードウエアである脳と環境との相互作用、ヒト特有の心の芽生えである言語や「心の理論」について理解する。

6
ライフサイクル

乳幼児から高齢期に至るまでの生涯発達の視点からライフサイクルを眺めた上で、特に高齢期の認知機能について理解を深める。

7
性格

科学としての心理学における性格へのアプローチを知ることで、現代の性格理論を正しく認識し、血液型性格分類などに惑わされないようにする。

8
ストレスとメンタルヘルス

ストレスとは何か、どのように対処する方法があるか(コーピングスタイル)を理解し、日常生活に役立てる。

9
視覚の次元(1)脳のハードウェアとソフトウェアの体験

眼の盲点や、同じものを見続けた後の残効などの体験を通して、眼から脳に至る視覚システムについて考える。

10
視覚の次元(2)脳と心で見る視覚世界

視覚的体験には、脳の構造的特徴から容易に説明できるもの、そうでないものがあり、ここではそれらについて体験を通して考える。

11
音と聴覚

音がなぜそのように聞こえるのかを理解するために、空気などの振動である音の物理的特徴と、それを受容する耳のハードウェアについて学び、色々な高さの音の聞こえ方の体験を通して、人特有の聴覚系の特徴を知る。

12
記憶

人の記憶はコンピュータの記憶装置と対比されることがあるが、違っているところの方が多い。ここでは、容量限界、時間特性、カテゴリー性などの特徴を持つ人の記憶について理解する。

13
学習:経験による行動の変容

心理学で扱う学習は、学校の勉強だけではなく、動物の調教や個人の習慣形成なども含んでいる。ここではそのような学習における法則を理解する。

14
社会のなかの人

人間にとって、他者と一緒にいる社会的文脈は、一人の時とはかなり違う行動をもたらす可能性を秘めている。ここでは、そうした社会的文脈がもたらす影響について理解する。

15
心理学から日常生活へ

これまでの回で学んだことを復習しながら、いくつかの特に重要な知見を日常生活にどのように活かせるかを考える。

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