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科目の概要

地域は、農業や食、地場産業などの育成や事業承継、さらに少子化、高齢化、人手不足などさまざまな課題を抱えている。こうした課題解決の担い手は一義的には自治体や企業、農協などの組織だが、実際の成否を決するのは個人の活躍である。本授業では地域課題の解決の決め手となる個人の活躍に着目し、そこにおけるアントレプレナーシップの発揮とそれを支える環境やメカニズムをさぐる。すなわち、この授業では地域において組織の中、あるいは外にあって個人が自らの創意工夫を手掛かりに周りを巻き込みながら地域課題を解決していくダイナミズムを「地域アントレプレナーシップ」と定義し、その本質や成立条件を多面的に分析し再現可能性を探求する。なお各回の授業は地域アントレプレナーシップの事例に精通する専門家の協力を得ながら各地の具体例を掘り下げ、また必要に応じゲストとして各地で活躍するアントレプレナーを招き、対談、ヒアリングなどの多様な方法論でアントレプレナーシップの本質とその発揮の方法を学ぶ。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
BSC-1-B1-0204-014
到達目標
学修を通じて、自分が住む地域や関心がある地域の課題やビジネスチャンスが理解できるようになる。また、個人が地域の課題解決やビジネスチャンスの具現化において活躍できる可能性を知る。さらに、事例を通じて地域課題の解決に必要なアントレプレナーシップについて、具体的にイメージできるようになる。
教科書・参考書
  • 【教科書】中川直洋著(2023年)『地方起業の教科書:地方での起業こそが、最強のビジネスモデルである!』あさ出版増田寛也監修・解説(2015年)『地方創生ビジネスの教科書』文藝春秋【参考書】佐藤将之著,馬場義徳著,安富啓著,日経アーキテクチュア編集(2022)『まちづくり仕組み図鑑ビジネスを生む「地元ぐらし」のススメ』日経BPissue+designproject著(2011年)『地域を変えるデザイン:コミュニティが元気になる30のアイデア』英治出版
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
イントロダクション

地域にはどういう課題やビジネスチャンスがあり、そこでなぜ個人のアントレプレナーシップが重要なのかイメージを得る。また授業の全体像を理解する。

2
地域アントレプレナーの実像

実際に地域で活躍してきたアントレプレナーから話を聞き、地域アントレプレナーのイメージを得る。

3
地域全体の活性化とアントレプレナーシップの関係

福岡県糸島市の事例を手掛かりに地域全体の活性化でアントレプレナーが果たす役割を考える。

4
食ビジネスと地域

アントレプレナーが成り立ちやすい身近なテーマは食である。食を通じた起業、特産物のブランディングの事例を学び、食を手掛かりとした自身と地域の発展について考える。

5
農業を仕事にする

自立した地域の基礎を支える農業の実態と課題を知り、そこにおける付加価値の向上や生産性改善の余地を知る。そのうえで事例を手掛かりに農業の改革においていかにアントレプレナーシップの発揮が重要であることを知る

6
アントレプレナーと楽しい地域づくり

地域の活性化の原動力は楽しさと人と人のつながりづくり。ここでは楽しさをつくり出す場所(図書館・本屋・カフェ)やお祭りやイベントがアントレプレナーを育む・集めること、また学校でも家でもないサードプレイスから生まれるつながりや創造性について考える

7
地域資源の発掘と組み合わせ

地域に眠っている資源の掘り起こし(空き店舗・空き地、見慣れた何もない場所が映画のロケ地になる、特産品のハイテク・アート転用など)とそこで発揮されるアントレプレナーシップについて考える。その際には一見関係のないものを組み合わせる等のセンスや即興的発想法が必要であり、事例を通じて感度を高める。

8
地場企業の再生と事業承継

アントレプレナーシップの発揮の場は新規の起業に限らない。ここでは行き詰まった地場産業の再生や事業承継を機に業態を転換した事例を通じて古くからある事業や組織をどのようにアントレプレナーが再生・改革していったかを学ぶ

9
等身大の地域のデジタル化

スマホなどデジタル機器が仕事を効率化し生活を便利にする。しかし高齢者や中小企業のデジタル化は遅れている。この回では事例を手掛かりに、地域のデジタル化の課題と可能性について考える。

10
社会起業で地域課題を解決する(子ども・高齢者・弱者支援)

行政が手が回らない弱者支援(子ども食堂、多世代型シェアハウス、自立支援施設など)の事例を手掛かりに、アントレプレナーシップが地域課題の解決に役立つこととその方法論を学ぶ。

11
地域の自立と循環型社会の先取りー山とサステナビリティー

地域の活性化と自立化を目指すうえでエネルギーと食料の自立・自給の課題は外せない。ここでは山の価値の再評価の事例(資源循環、バイオマス、カーボンニュートラルなど)を手掛かりに都市よりも先行して循環型社会を目指して動く中山間地の例を考える

12
周りを巻き込むアントレプレナーシップ

アントレプレナーシップを発揮した地域の課題解決には、資金と人びとの協力が必要である。ここでは資金調達とチームづくりを中心に周りを巻き込むことの重要性やその方法を学ぶ。(ファイナンス、チームビルディング)

13
移住者のアントレプレナーシップ

地方の魅力やライフスタイルに魅力を感じて移住する人が増えている。そして移住者は地元にない技能や発想を提供する。この回では移住者が発揮する様々なアントレプレナーとそれを地域がうまく引き出し、活用する秘訣を学ぶ。

14
スーパー公務員という生き方

公務員は地域課題に精通しその解決に向け日々努力している。今回は公務員の創意工夫で課題が解決した事例を学ぶ。なぜ職務の枠を超えて課題解決に挑んだか、組織の力をどう活用したかなど当事者から話を聞き公務員という立場であるがゆえに発揮しうるアントレプレナーシップについて考える。

15
まとめ(演習)ー地域と自分の関わりを考えるー

受講者が住む地域あるいは関心や馴染みの深い地域の課題やビジネスチャンスを題材に具体的なテーマを設定し、どのようなアントレプレナーシップが発揮しうるか、演習を通じて学ぶ。

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