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科目の概要

- 数学は第一級の歴史・考古学資料になり得る。 - 数学史とは各々の文明圏から生じた数学の伝統が征服と同化を繰り返しながら一つの「世界の数学」に収斂していく文化的征服史である。 ● これらの基本理念に基づいて、各々の時代・地域の歴史を背景として浮き彫りになる数学の魅力を描き出すことを目的とする。数学を作ったのは誰か?各々の地域・時代で数学の担い手は誰だったのか?このように歴史の文脈の中で数学を見ることで、数学のイメージを刷新し、受講生各自の数学観を新たにしてもらうことを狙いとしている。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
BSC-1-B1-1030-005
到達目標
● 人類史の中での人間の営みの変遷として数学史を捉える視点を獲得する。 ● 歴史を通じて数学を通時的に捉えることによって、現代数学が古代や中世の数学を基礎にして成立したものであることを理解する。 ● AIやデータサイエンスなど現代社会で活躍する様々な数理科学の基本的な考え方が形成された経緯について、一定の理解を得る。 ● 社会の中で数学がどのような立ち位置と担い手によって発展し、その結果として現代社会の中でどのような役割を担っているのかについて、自分なりの理解に到達する。
教科書・参考書
  • 【教科書】オリジナル教材【参考書】『数学の世界史』(加藤文元/KADOKAWA)2024、『物語数学の歴史』(加藤文元/中公新書)2009
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
ガイダンス

数学の始まりとは何かについての基礎的な考察から始めて、古代文明の数学の特徴を概観し、この授業全体の方針を定める。

2
三平方の定理と古代バビロニア数学

三平方の定理およびピタゴラスの三つ組について、古代バビロニア数学の粘土板文献から紐解く。

3
古代エジプト人の割り算

エジプト人による特徴的な掛け算と割り算の概要を通じて、古代エジプト数学の担い手について考察する。

4
記数法の歴史

各文明圏の記数法の歴史を考察し、インド・アラビア的な10進位取り記数法の素晴らしさを体感する。

5
古代ギリシャ数学① 論証数学の起源

古代ギリシャ数学の特徴が「論証数学」にあることを明らかにし、証明を主体とする数学の歴史的意義について考察する。

6
古代ギリシャ数学② 論理と現実は一致するか?

古代ギリシャの論証数学の起源にある逆理の哲学と、互除法による通約不可能性の発見について理解する。

7
ヘレニズム期の数学① ユークリッド原論

古代ギリシャ数学の真骨頂である『ユークリッド原論』と、その公理的方法について理解を深める。

8
ヘレニズム期の数学② アルキメデスの数学と古代ギリシャ科学の終焉

アルキメデスの数学の業績について明らかにし、古代ギリシャ世界の数理科学の終焉がどのようにしてもたらされたのか、歴史の中で理解する。

9
中世インドと中国の数学

中世のインドと中国の数学を検討することを通して、中世数学の歴史について理解を深める。

10
中世アラビアの代数学

アラビア数学の背景と起源および本格的な代数学の創始について概観する。

11
近代西洋数学① 12世紀ルネサンス

近代西洋数学の起源である12世紀ルネサンスの背景と経緯について、西洋史における位置付けとともに概観する。

12
近代西洋数学② 微分積分学の発見

近代西洋数学における最大の発見である「微分積分学の発見」について、その背景と経緯、およびその波及効果について理解する。

13
和算と円周率

円周率の計算の歴史、特に日本の和算における歴史を通して、円周率の理解の進歩を理解すると同時に、和算について理解を深める。

14
宇宙の幾何学

非ユークリッド幾何学の発見を中心に、空間概念の変遷を数学史および世界史の中に位置付ける。

15
まとめと現代の数学

古代・中世・近代および19世紀の数学を概観し、その延長線上にある現代数学がどのようにしてできたのか、そして数学の未来について考える。

関連科目