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科目の概要

本授業では、日本文学から具体的な作品・作家を取り上げ、比較文学的に解読して日本を相対化し、グローバル化された世界に活躍できるための基礎となる概念と思考について考えたい。高等教育における人文系の必要性が問われる最中、文学はなぜ我々現代人にとって必要不可欠なのか、そしてより良い社会造りに文学はいかに役に立つのかについて学んでいく。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
BSC-1-B1-1030-007
到達目標
この授業を受講することで、まず、日本文学の主な作品について知識を得つつ、日本文学は海外でいかに受容され、どのように評価されてきたのかについて理解することができる。なお、文学作品の読解力が身につき、思考力、表現力も育成することができると同時に、我々が日常の中で直面する社会問題について主体的に考える能力を身につけることができる。
教科書・参考書
  • 佐々木英昭編「異文化への視線-新しい比較文学のために」(名古屋大学出版会、1996年)、稲賀繫美編『異文化理解の倫理にむけて』(名古屋大学出版会、2000年)、日本比較文学会編「越境する言の葉―日本比較文学会学会創立六〇周年記念論集」(彩流社、2011年)
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
オリエンテーション:批判的な文学とは何か?「日本文学」とは何か?日本の国民国家形成と「日本文学」の成立

本講義では、文学的な批評理論とは何かを確認し、主な理論的な概念について触れながら、現代を生きる上で批評はなぜどのように重要なのかについて学びます。

2
世界文学論とは何か?なぜ世界文学論なのか?

本講義では、世界文学論の形成過程と定義について紹介し、グローバル化の時代における文学作品の持つ意味について学びます。

3
世界文学としての説話文学:共有文化としての説話

本講義では、日本文学の一つのジャンルである説話文学から具体例を提示し、日本の中世時代の文学・文化をアジア地域に共通する文化の中で位置付けながら、日本文化の共通性・独自性について学びます。

4
日本近代化と投企される古典性:日本文学作品の海外受容の始まり

本講義では、日本開国前後の西洋における日本像について紹介し、明治・大正・昭和時代に、日本の知識人が海外に対してどのような日本像を投影しようとしたのかについて学びます。

5
日本近代化と投企される古典性:末松謙澄『源氏物語』訳を中心に

本講義では、19世紀後半の不平等な世界秩序の中で、明治期の官僚・政治家であった末松謙澄による『源氏物語』初の外国語訳を事例に、末松の日本文化観と翻訳の政治的な目的について学びます。

6
周辺地域から読む日本文学:知里幸恵『知里幸恵アイヌ神謡集』

本講義では、日本の近代化過程で包摂と排除された一事例として、知里幸恵『知里幸恵アイヌ神謡集』を取り上げ、アイヌ人による日本文学とはいかなるものなのかについて学びます。

7
周縁地域から読む日本文学:日系ブラジル人の日本語文学

本講義では、20世紀初頭の日系ブラジル人による日本語文学について紹介し、日系人のアイデンティティ形成と故郷の記憶について学びます。

8
19世紀後半の西欧における日本文学:ジャポニズムとヨーロッパ文学

本講義では、19世紀後半の西洋におけるジャポニズム風潮の高まるなか、日本文化が西欧の文学形成にいかなる影響を与えたについて学びます。

9
19世紀後半・20世紀初頭の西欧における日本文学:俳句とヨーロッパのモダニズム文学

本講義では、明治中後期における俳句の復興運動について触れ、俳句は20世紀初頭のヨーロッパのモダニズム文学にいかなる影響を与えたのかについて学びます。

10
19世紀後半・20世紀初頭の西欧における日本文学:アーサー・ウェイリー訳『源氏物語』と世界文学への道

本講義では、日本文学の海外受容において大きなマイルストーンであったアーサー・ウェイリー訳『源氏物語』について紹介し、国内外における『源氏物語』の聖典化過程について学びます。

11
19世紀後半・20世紀初頭の西欧における日本文学:バジル・バンティングの『方丈記』理解

本講義では、西洋における日本文学の受容の一例として、イギリスの詩人による『方丈記』のアダプテーション作品を紹介し、この作品はなぜどのように日本とは異なる形で英語圏で理解されたのかについて学びます。

12
戦前・戦後の西洋における日本文学:オリエンタリズムと川端・谷崎・三島の「ビッグ・スリー」

本講義では、戦後アメリカの日本像について触れながら、川端・谷崎・三島の「ビッグ・スリー」文学ブームの栄光と悲劇について述べ、日本文学がいかにして世界文学に参入したのかについて学びます。

13
オリエンタリズム・自己オリエンタリズムを生きる

本講義では、自己オリエンタリズム論について紹介し、第二次世界大戦前後における代表的な日本作家の西洋とアジア諸国に対する眼差しについて学びます。

14
グローバル化と日本文学:多和田葉子とバイリンガル文学について

本講義では、グローバル化時代における文学の在り方として、多和田葉子のバイリンガル文学を取り上げ、単一国家・言語を超えた文学の持つ意義と可能性について学びます。

15
グローバル化と日本文学:外国語で村上春樹を読むとかいかなることか

本講義では、現代の日本作家のなかで特に世界的に人気である村上春樹の文学作品はどのように世界文学になったのか、その経緯について学びます。

関連科目