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科目の概要

本科目では、アニメを「日本の誇るべきメディア芸術」として取りあげ、授業を通して「アニメの成り立ち」を歴史、芸術、ビジネスなど、さまざまな観点から解説する。「見ればわかる」と思われがちなアニメを「ものづくりの事例」として理解することを目標とする。「世の中で流通する商品には何が必要か」を思考するための基礎能力を高めることで、将来自分が携わる仕事に何が必要とされるかを想像できる能力を養う。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
DIGI-1-B1-0204-003
到達目標
毎週多くのアニメ作品が流れることを「当たり前」と思う人も多いだろう。本科目では、資金を集める人、作っている人、流通させている人など大勢が参加した「社会的な営み」であるという認識を身につけ、どのような歴史の積みかさねの上に、現在のアニメができたのか、そこで大切なことは何なのかについて説明できるようにする。日本社会、あるいは国際的に通用する商品に何が必要で、将来必要なものは何かを論じられる能力の修得が目標である。
教科書・参考書
  • 氷川竜介「日本アニメの革新歴史の転換点となった変化の構造分析」(角川新書)2023福原慶匡「アニメプロデューサーになろう!アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み」(星海社新書)2018津堅信之「日本アニメ史-手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年」(中公新書)2022
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、教材をよみしっかりと復習をしてください。また、次回の学修内容についても教材に載っている作品を事前に読み、Webで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
アニメの歴史を学ぶということ (イントロダクション )

アニメは日本を代表するメディア芸術、コンテンツ産業である。その歴史を学ぶにあたり、授業の前提となる基礎知識を学ぶ。特に発展の経緯や成立条件に着目し、現在の産業構造がどのようになっているか、学修する。

2
21世紀のアニメ①

アニメ産業の歴史が生みだした現在の成果として、2016年以後の代表作や業界の状況を学修する。ことに国際的な観点において、日本のアニメにはどのような特徴があるのか、その基礎を学ぶ。

3
21世紀のアニメ②

アニメ産業の現状を理解する上で必要とされる基礎知識を学修する。特に資金を集めてどのように回収するのか、製作委員会を中心とした構造的なものについて学ぶ。

4
アニメ監督の思考と挑戦

アニメビジネスは作品を発表し、ユーザーがどう評価するかで大きく結果が変わってしまう。作品作りの責任者としての「監督」に着目することで、どのような価値を作りこんでいるのかを学修する。

5
子供向けアニメビジネスの始まり

第5回目からは、年代を追いながらアニメの歴史を学ぶ。この回では1950年代末から1960年代にかけて、映画、テレビで産業の基礎を築いた東映動画、虫プロダクションの動きと商品化ビジネスについて学修する。

6
豊かになるアニメジャンルと表現①

この回では1970年代、アニメ産業に起きた激変について学修する。テレビのカラー化、映画業界の衰退とアニメ業界構造の変化、そして高額商品の玩具販売がオリジナル作品を生み出す流れを学修する。

7
豊かになるアニメジャンルと表現②

この回ではアニメ産業を支える作品ジャンルの主なもの、名作アニメや少女アニメなどについて学修する。また、大会社以外にも資金を集めてアニメを作る独立系の作品が後世にあたえた影響を学ぶ。

8
ティーンエイジャーがアニメを改革する

1970年代中盤まで、アニメは「子供の見るもの」とされていた。しかし『宇宙戦艦ヤマト』の劇場版がティーンエイジャーを動員し、社会的現象を起こした結果が業界を変える。その激変がおよぼした結果を学修する。

9
ガンダム誕生とそのヒットがもたらしたもの

1970年代末から1980年代前半、富野由悠季原作・監督の『機動戦士ガンダム』がアニメビジネスを大きく発展させた。その作品の成立経緯を学ぶとともに、どのような要素がどう後の作品に影響をあたえたかを学修する。

10
スタジオジブリの誕生と国民的アニメ

日本映画興行の歴史を変えたスタジオジブリ作品について、その基礎を学ぶ。ことに出版社とアニメ雑誌がジブリを誕生させた経緯と、観客層の成長につれてジブリが国民的なブランドになっていく歴史を学修する。

11
リアル派アニメとハイクオリティ主義

なぜ日本のアニメは「メカと美少女」を中心に発展したのか、どのようにして国際的になっていったのか。その経緯について「リアル」「ハイクオリティ」をキーワードに、視聴環境の変化も絡めつつ学修する。

12
革命を巻き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』

1990年代後半、『新世紀エヴァンゲリオン』は新たな社会現象を起こした。その中心となった庵野秀明監督とガイナックスの来歴を学修し、『エヴァ』がどのような価値やビジネススキームを生みだしたかを学ぶ。

13
OVAとパッケージビジネスの役割

OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)は劇場や放送などのメディアインフラに頼らず、アニメ作品を直接届けることでパッケージビジネスを開拓した。その経緯と結果がもたらしたビジネス的な効果について学修する。

14
海外からの評価とビジネス構造の変化

海外から見た日本アニメの評価は、どのような段階を経て高まっていたのか。そこにどのような価値が見いだされたのか。パッケージや配信によるアニメの海外進出は、どのように市場を拡大させたのかを学修する。

15
アニメ業界のこれから(コンクルージョン)

アニメ業界を取りまく状況をキーワードによって整理し、総括を行う。作品、制作、配給、メディアミックス、国際といった視点から、どんな課題と将来像が見えるのか。学生は学修成果をどう使えば良いのかを述べ、講義を締めくくる。

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