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科目の概要

本科目では、日本におけるゲーム産業の歴史を概観しつつ、家庭用ゲームやスマホゲームなど、ジャンルごとの個別の歴史を詳細に取り上げる。日本ゲーム産業を築きあげたビジネスモデルや、ヒットの裏側にあった社会環境、文化的背景などを理解することで、多角的な視点から日本のゲームの歴史の大きな流れを学び、時代の変化に対応する思考力や対応力を養う。なお、いくつかの授業ではゲストスピーカーをお呼びし、ゲームジャンルとは異なる切り口からディスカッションを行う。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
DIGI-1-B1-0204-004
到達目標
日本のゲーム産業史の大きな流れを把握し、どのようなビジネスモデル・社会環境・文化的/技術的背景のもとに、多様なゲーム産業が発達してきたのかを理解する。本授業を通して、日本のゲーム産業の歴史に大きく影響を与えた重要な出来事や、歴史の転換点となった事象について説明できるようになる。
教科書・参考書
  • 電ファミニコゲーマー編集部『ゲームの企画書(1)』〜『ゲームの企画書(3)』KADOKAWA、2019田中圭一『若ゲのいたりゲームクリエイターの青春』KADOKAWA、2019平林久和、赤尾晃一『ゲームの大学』メディアファクトリー、1996赤木真澄『それは『ポン』から始まったアーケードTVゲームの成り立ち』アミューズメント通信社、2005上村雅之、細井浩一、中村彰憲『ファミコンとその時代テレビゲームの誕生』NTT出版、2013中川大地『現代ゲーム全史文明の遊戯史観から』早川書房、2016小山友介『日本デジタルゲーム産業史増補改訂版:ファミコン以前からスマホゲームまで』人文書院、2020
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、教材をよみしっかりと復習をしてください。また、次回の学習内容についても教材に載っている作品を事前に読み、Webで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
ゲーム産業史の概略(イントロダクション)

この回では、日本のゲーム産業史の大まかな流れをつかむ。「日本ゲーム産業の拡大」という観点から、重要な出来事や時代の変化のポイントを抑え、今後の授業を理解するための前提を把握する。ゲーム業界の産業構造と市場規模や、ゲーム業界に大きな影響を与えたタイトルといった基礎知識、そしてゲーム産業のビジネスモデルの基本を学ぶ。(担当:細井浩一、平信一)

2
アーケードゲームの歴史

この回では、アーケードゲームの歴史を学ぶ。アーケードゲームでは「1プレイ100円」のようなビジネスモデルのため、シューティングやアクション、格闘ゲームや音楽ゲームといった、短時間で何度も繰り返し遊ぶゲームが主流となった。1990年代には格闘ゲームが一大ブームとなり、ゲームセンター文化が花開いた。しかし、その後ゲーム産業の中心がPCや家庭用ゲーム機、モバイルゲームに移り変わってくなかで、ゲームセンターは総合アミューズメント施設になっていく歴史を学ぶ。(担当:平信一)

3
PCゲームの歴史①

最初は研究や軍事目的に使われていたコンピュータだったが、70年代後半に北米で登場したApple IIのヒットにより、パーソナル・コンピュータはPCとして広く普及した。日本では北米より少し遅れて1980年代にPC市場が成長し、それとともにPCゲーム市場が誕生。PCゲームではシミュレーションやアドベンチャー、RPGといったじっくりと時間をかけて遊ぶジャンル主流った。ここではそのPCゲームの歴史を学ぶ。(担当:平信一)

4
PCゲームの歴史②

2000年代以降のPCゲームの歴史を学ぶ2000年代は、家庭用ゲームが発達した日本とは対照的に、PCゲームが発達した欧米や韓国が中心となる。この時代はPCの技術進歩が著しく、特にオンラインゲームがPCゲームで発達。2010年代は、Steamを中心にさまざまなゲーム販売プラットフォームが登場し、個人や小規模で作るインディーゲーム市場が拡大。世界で最も売れた『マインクラフト』などを取り上げ学ぶ。(担当:平信一)

5
ゲームとメディアの歴史

ゲームとメディアの歴史について学ぶ。ゲームメディアは、ゲームの最新情報、攻略情報の提供、ゲームのレビュー、コミュニティの形成といった役割を担ってきた。1980年代は紙雑誌、2000年代はネット、2010年代はSNSやインフルエンサーなど、時代ごとの情報インフラのなかで最も影響力がある/最も社会に浸透しているものに即したメディアが最も発展。ゲストと共にその歴史を解説する。(担当:平信一)

6
家庭用ゲームの歴史①

家庭用ゲームの黎明期から1990年代までの歴史をぶ。家庭用ゲーム機市場は、ファミコンの大ヒットにより成立し、プラットフォーマーにゲームを提供するゲームメーカーも多数参入し、家庭用ゲームのビジネスモデルが形作られた。1990年代に入ると、日本のゲーム産業は黄金期を迎えることになる。CD-ROMや3Dグラフィックなどの技術革新によって、ゲームは一気にリッチかつ多様になった。(担当:平信一)

7
家庭用ゲームの歴史②

この回では、2000年代の家庭用ゲームの歴史を学ぶ。2000年代前半では、北米の巨大IT企業マイクロソフトが家庭用ゲーム市場に参入。家庭用ゲーム機の大手プラットフォーマー3社が定着。2000年代後半は、高性能なゲーム機が発売される一方で、任天堂は技術革新とは全く異なる路線のニンテンドーDS・Wiiを発表し、いずれも大ヒット。今までゲームに触れてこなかった、カジュアル層の開拓に成功。(担当:平信一)

8
家庭用ゲームの歴史③

この回では、2010年代以降の家庭用ゲームの歴史を学ぶ。2010年代には、ネット環境の普及によりゲームプラットフォーム自体がオンラインサービス化。さらにゲーム実況・ゲーム配信文化の定着と受容が進んだ。2010年の後半になると、大規模化が続く海外AAAタイトルではマンネリ化が進み、逆に大規模化しきらなかった日本のゲームの世界的なヒットが目立ち始める。(担当:平信一)

9
ゲームとメディアミックスの歴史

この回では、ゲームとメディアミックスの歴史を学ぶ。メディアミックスとは、ゲームだけでなく、アニメやマンガ、映画などの多様な媒体で展開する手法になる。とくに日本ではゲーム業界と出版業界の距離が近く、マンガ雑誌上でゲームの最新情報や攻略情報を取り扱ったり、ゲームのコミカライズを連載したり、逆にマンガのゲーム化といったプロジェクトについても学ぶ。(担当:平信一)

10
携帯型ゲームの歴史

この回では、携帯型ゲームの歴史を学ぶ。携帯型ゲームは、任天堂の「ゲーム&ウオッチ」「ゲームボーイ」の大ヒットにより成立した。ゲーム&ウオッチでは「十字キー」という大発明が、ゲームボーイではのちに世界的なIPとなった『ポケモン』が生まれた。以降、携帯型ゲーム市場は任天堂の独壇場だったが、2010年代になるとスマートフォンの急激な普及にともない、携帯型ゲーム機市場は縮小していくこととなった。(担当:平信一)

11
モバイルゲームの歴史

この回では、モバイルゲームの歴史を学ぶ。モバイルゲーム産業は、ドコモの「iモード」の大ヒットにより成立した。携帯電話の普及とともにモバイルゲーム産業も成長し、ソーシャルゲームの発明とヒットは巨大な市場を生み出した。2010年代になると、スマートフォンがまたたく間に全世界に普及し、一気にゲーム産業全体の中心となっていく。その流れと現代に至るまでの道を学ぶ。(担当:平信一)

12
VR/ARゲームの歴史

VRゲームは主にHMDを被ってプレイするゲームで、極めて没入感の高いゲーム体験を得られることが特徴。現代的なVR技術やHMDは、1960年代にその原型が生まれた。その後技術革新が進み、1990年代には第1次VRブームが発生した。2012年にパルマー・ラッキーという天才が出現。彼が開発した革新的なHMD「Oculus」のヒットによって、再びVRゲーム業界が盛り上がった歴史を知る。(担当:平信一)

13
『ポケモン』の歴史

この回では、『ポケモン』の歴史を学ぶ。初代『ポケットモンスター赤・緑』の大ヒットから、『ポケモン』はゲームの枠組みを飛び越えて、IPとしての人気を高めた。その過程で設立されたのが、『ポケモン』IPのプロデュースを一手に担う「株式会社ポケモン」。そこから『Pokemon GO』の大ヒットと、名実ともに世界一となるまで、なぜ『ポケモン』が世界的に愛されるIPとなったのか、一連の流れを把握する。(担当:平信一)

14
日本と世界のゲーム産業

この回では、日本と世界のゲーム産業の歴史を学ぶ。この授業では「日本のゲーム産業史」を扱ってきた。そのため、基本的には「日本(人)から見た歴史」という形となっている。一方で、日本のゲーム産業史と言いつつも、世界の影響(とくに北米、欧州、中国・韓国)を多分に受けているのも事実。そこで、今回の授業では日本と世界のゲーム産業史の大きな流れを概観しつつ、重要な出来事やトピックについて解説する。(担当:平信一)

15
ゲーム業界のこれから(コンクルージョン)

この回では、これからのゲーム業界についての展望を学ぶ。ゲーム産業の市場規模は世界全体で年々増えているので、今後成長する分野であることは間違いない。一方で、世界的な競争も激しさを増すなかで、ゲーム産業の今後の傾向を、各ジャンルごとにこれからのゲームの進化や、ビジネスモデル、ゲーム市場の行方、ゲームコミュニティ、ゲーム受容といったさまざまな観点から分析する。(担当:細井浩一、平信一)

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