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科目の概要

この授業では、「資本主義」とはどのような社会なのかを考えていく。本来、経済活動とは、人々がこの地球上で他者や自然とともに生きていくための行為である。ところが、なぜ人は過労死をするまで働いてしまうのか。なぜ生きるための生産・消費活動が深刻な環境破壊を引き起こしてしまうのか。本講義では、マルクスの『資本論』を手がかりとして、「商品」「貨幣」「資本」といった概念を学びながら、資本主義社会の全体像を再構築していく。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
ECON-1-C1-0204-002
到達目標
本講義を受けることで、具体的には以下の能力を身につけることを到達目標とする。まずは、『資本論』の大枠の流れや内容を把握できるようになる。その際には、「商品」「貨幣」「資本」などの基本的概念や「労働価値説」について、自分のことばで説明できるようになること。そのうえで、資本主義社会の歴史的特殊性(他の社会システムとの違い)を理解し、自分なりに資本主義についての分析や考察ができるようになることを目指す。
教科書・参考書
  • 斎藤幸平「ゼロからの『資本論』」(NHK出版新書、2023)
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
前提科目 なし 後継科目 現代資本主義論 2025年4月1日現在。内容が更新される場合があります。

授業計画

1
社会経済学とはなにか

授業全体のねらいと構成を説明する

2
なぜ『資本論』を学ぶのか

『資本論』の独自性や現代的意義について理解する

3
労働とはなにか

私たちはなぜ働くのかを理解する

4
労働価値説

商品の価値がどのようにして決まるのかを理解する

5
資本とはなにか

資本とはどのようにして増えていくのかを理解する

6
なぜ過労死するまで働かされるのか

絶対的剰余価値の生産について理解する

7
資本主義のイノベーション

相対的剰余価値の生産について理解する

8
資本の生産力と疎外

資本主義における生産力の増大が労働者の疎外を強める理由を理解する

9
物象化と物神崇拝

これまでの議論を踏まえ、なぜ資本主義において人間とモノの関係が逆転するのかを解明する

10
資本主義と環境危機

資本主義がどのようにして環境破壊を引き起こすのかを理解する

11
環境危機と不等価交換

資本主義が引き起こすグローバル・ノースとグローバル・サウスの格差の仕組みについて理解する

12
資本の再生産と失業

資本の投資を何度も繰り返すとどのような変化が生じるかを見ていく

13
資本の本原的蓄積

資本主義がどのようにして成立したかの歴史的過程を理解する

14
新しい自由な社会の可能性

これまでの授業を踏まえ、資本主義の問題点を解決する新しい社会の可能性について展望する

15
まとめ

今学期の授業を概観し、授業前との資本主義の見え方の違いについて議論する

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