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科目の概要

経済学は既に200年以上の歴史を持った学問である。現在世界中で教えられている経済学はどのようにして発展し、一体何を問題とし、どのように解決してきたのか。また、現在どのような問題が残されているのか。経済学を巡る言説・言論の歴史を振り返ることで、経済学が問題にしてきた本質的な点を考察していく。その視点を通すことで、現代社会の多くの問題を経済学的に批判的に捉えなおす能力を身につけることができる。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
ECON-1-C1-1030-001
到達目標
本科目を通して、経済学説の歴史とその蓄積を学び、経済分析の仕方が長い時間をかけて積み上げてきたものであることを学ぶ。また、経済学説のそれぞれは時に対立したり矛盾したりする面を持つが、それを学ぶことで多角的な視点からの考え方と健全な批判的精神を涵養し、複雑で不確実性に満ちた新時代を切り開く力を身につける。
教科書・参考書
  • ハジュン・チャン「ケンブリッジ式経済学ユーザーズガイド―経済学の95%はただの常識にすぎない」東洋経済新報社(2015)
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
イントロダクション

オリエンテーションと経済学の5大分野を学び、理論、方法論、政策論としての経済学各論を理解する。また、実学と歴史の観点から経済学を深掘りする。

2
価値物とは何か

価値に関する時代背景や生産関数の特徴を学び、ヘンリー7世、ジョバンニ・ボッテーロ、W・ペティ、ジェームズ・スチュアート、A.ハミルトンといった人物を通して、価値物の定義とその意義を理解する。

3
生産と分業:アダム・スミス

経済学の父アダム・スミスの思想を軸に、分業と生産性、価値と労働価値説、社会的分業と私的所有について学習する。また、市場経済の前提条件や資本蓄積論、自由貿易の擁護、独占の排除といった経済学説を理解し、深く考察する。

4
交換と比較優位:D.リカード

リカードの比較優位理論やヘクシャー・オーリン・モデルを学ぶ。自由貿易のメリットとデメリット、フリードリヒ・リストの保護貿易論を通じて、実際の国際貿易の問題について理解を深める。

5
資本制の発見:K.マルクス&F.エンゲルス

K.マルクスとF.エンゲルスの見解を通じて、資本制の原理と発展を理解する。共産党宣言、資本論、帝国主義論等を学習し、社会主義の実際とその問題点を探求する。

6
限界革命:ジェボンズ、メンガー、ワルラス

限界概念について学び、平均と限界、限界効用、限界生産力を理解する。労働価値説と主観価値説、メンガーの価格理論、ジェボンズの景気循環理論、ワルラスの一般均衡理論を学ぶ。

7
市場の失敗と公的部門の重要性:J.M.ケインズ

ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」や有効需要の不足と政府、消費関数と限界消費性向、投資と利子:投資の限界効率、貨幣についてを学び、市場の失敗と公的部門の重要性を理解する。ケインズ経済学とその批判点も熟考する。

8
投資と経済成長:ハロッド・ドーマー

高成長と経済の安定性を学問的観点から理解し、ソロー・モデル、ハロッド・ドーマー・モデル、成長理論、投資関数を学ぶ。ケンブリッジ資本論争や現代の経済成長理論についても議論する。

9
政府の失敗と新自由主義:M.フリードマン、ハイエク

M.フリードマン、ハイエクの視点から新自由主義や政府の失敗について解析する。ケインズの時代背景や社会主義批判、さらにはグローバリズムへの批判等を踏まえながら、自由主義経済の理論に迫る。

10
制度と組織の経済学

制度学派の背景やヴェブレン、新制度学派、比較制度学派について学ぶ。さらに、組織の経営行動や人間の認知と行動との関わりを理解し、社会制度の役割を深く理解する。

11
サプライチェーンの経済学:レオンチェフ

レオンチェフ・モデルや輸入内生化モデルを理解し、産業連関表の概念を学ぶ。また、生産誘発効果、影響力と感応度についての理解を深め、産業連関の応用能力を身につける。

12
イノベーションの破壊力:J.シュンペーター

シュンペーターの学説やイノベーションに関する理論を学び、ベンチャービジネスとイノベーションの関連性を理解する。その中で、社会主義観や経済分析の理論も習得し、オーストリア学派と時代背景を学習する。

13
歴史的分析の視点:

「歴史的分析の視点」では、フリードリヒ・リストやマックス・ウェーバー、グンナー・ミュルダールなどの思想を学習し、その視点で歴史を理解する能力を養う。

14
経済発展の考え方について1:全体論と歴史的進化過程

社会構造の捉え方と経済分析の方法論を学ぶ。さらに、歴史的進化の経済学や、各理論まで理解を深め、経済発展の歴史的進化過程を理解する。

15
経済発展の考え方について2:社会の階層、構造、経済発展原理

歴史的過程と社会階層を通じて、社会の6大構成分野と経済発展の5大原理を学ぶ。これらを理解することで、経済発展の考え方を深めることが目指されている。

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