シラバス
入学のご案内履修登録

科目の概要

現代世界は政治に満たされている。哲学も政治の道具となっている。しかし、そもそも哲学とは「政治の外」を考える営みであり、また人間を政治から自由にする手段でもあった。 本授業では、講師の著作を導入として、そんな哲学の役割をあらためて考えるための基礎文献を紹介する。学生は現代思想の基礎概念(ポストモダン、公共性、リベラリズムなど)も学ぶことができる。 授業は基本的に講義形式だが、各回必ず質疑応答時間を取る。積極的な質疑は評価の対象となる。また学生発表を組み込んだ回も入れる(発表内容は別途授業内で指示する)。発表も評価点に加わる。なお、紹介する文献、学生発表の対象とする回などは授業の進行に応じて変更される可能性がある。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
3-4Q
科目区分
選択
授業の方法
演習科目
評価方法
レポート60%、発表・発言40%
科目コード
HUM-1-C3-0034-008
到達目標
本授業を通じて、学生は、性急な政治的問題設定の暴力性を学び、社会問題に対してより批判的な距離をもって接することができるようになる。
教科書・参考書
  • 東浩紀『観光客の哲学増補版』、ゲンロン、2023年東浩紀『訂正可能性の哲学』、ゲンロン、2023年東浩紀『訂正する力』、ゲンロン、2023年カール・シュミット『政治的なものの概念』ハンナ・アーレント『人間の条件』リチャード・ローティ『偶然性、連帯、アイロニー』
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
オリエンテーション

1回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

本授業の趣旨を説明し、哲学を学ぶときの心構え、参考文献の入手方法などを教える。

2
政治と哲学1

2回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『観光客の哲学 増補版』(第1部のみ)を教科書として用い、政治的思考と哲学的思考の違い、社会思想の基礎的な歴史について学ぶ、

3
政治と哲学2

3回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『訂正可能性の哲学』第1部の前半を教科書として用い、家族と公共性、開放性と閉鎖性などの基礎的な対立について学ぶ。

4
政治と哲学3

4回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『訂正可能性の哲学』第1部の後半を教科書として用い、前回の授業で提示した対立を脱構築するため、アーレントの公共性、ローティのリベラリズムなどの概念を使うことを学ぶ。それぞれの思想について詳しくは後半にふたたび解説する。

5
政治と哲学4

5回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『訂正可能性の哲学』第2部の前半を教科書として用い、人工知能民主主義の定義、ルソーの一般意志の概念などについて学ぶ。

6
政治と哲学5

6回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『訂正可能性の哲学』第2部の後半を教科書として用い、ルソーの「人工的自然」の概念、バフチンの対話の概念、トクヴィルの民主主義の定義などについて学ぶ。

7
中間まとめ

7回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記5回の授業をまとめ、政治的思考が「友」と「敵」、「閉鎖」と「開放」についてとらわれていることを確認し、それを超える哲学的可能性を整理する。(※学生発表あり)

8
20世紀思想における政治の概念1

8回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

カール・シュミットの「政治的なものの概念」および関連テクストの内容を紹介し、「政治」の哲学的な本質を学ぶ。(※学生発表あり)

9
20世紀思想における政治の概念2

9回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ハンナ・アーレント『人間の条件』を読む(1)。アーレントの公共性、多数性などの概念について学ぶ。(※学生発表あり)

10
20世紀思想における政治の概念3

10回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ハンナ・アーレント『人間の条件』を読む(2)。アーレントにおける「活動」「仕事」「労働」の三分割の概念について学ぶ。(※学生発表あり)

11
20世紀思想における政治の概念4

11回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

リチャード・ローティ『偶然性、連帯、アイロニー』を読み、「リベラル・アイロニズム」の構想およびプラグマティズムについて学ぶ。(※学生発表あり)

12
20世紀思想における政治の概念5

12回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

リベラリズムとリバタリアニズム。ジョン・ロールズとロバート・ノージックの思想、およびリバタリアニズムとIT産業の関係について学ぶ。

13
20世紀思想における政治の概念6

13回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ポストモダニズムと左翼思想(1)。ポストモダニズムの歴史をおさらいし、ミシェル・フーコーの権力概念やジャック・デリダの正義論について学ぶ。

14
20世紀思想における政治の概念7

14回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ポストモダニズムと左翼思想(2)。前回を受けて、アントニオ・ネグリの「帝国」概念やシャンタル・ムフの左派ポピュリズムなどについて学ぶ。

15
まとめ

15回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

授業全体をまとめ、政治的思考に特徴的な二分法を乗り越えるために必要な新しい思考法(観光客、家族的類似性、誤配、訂正など)を確認する。(※学生発表あり)

関連科目