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科目の概要

本講義の目標は数学を様々な場面の問題解決や意思決定に活かすことである。しかしこれは容易ではない。1つには数学的スキルの欠如の問題がある。これに対応するのが第一部(ファイナンスとビジネス)、第二部(コンピュータ)の役割である。もう1つ難しいのは、ある問題場面に数学的な知識が使えると気がつけないことである。第三部(現代社会と数学)では数学が一般的なイメージより広い射程をもち、人文科学等の領域でも活躍することを紹介し、数理的な考え方を積極的に用いる態度の養成を狙っている。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
必修(主要)
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
INT-1-A1-1030-002
到達目標
・ファイナンス・ビジネス領域の問題に数学的な知識や考え方を活かして、実際に問題解決・意思決定に利用できる。 ・データサイエンスの問題に数学的な知識や考え方を活かして、実際に問題解決・意思決定に利用できる。 ・状況を数理的な目線で捉えようとすることを積極的に行い、問題解決や意思決定に生かそうとする態度を持っている。
教科書・参考書
  • 【教科書】オリジナル教材【参考書】HIRSCH『TransitiontoCollegeMathematicsandStatistics』,McGrawHill2016/若山正人『技術に生きる現代数学』、岩波書店、2008
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
割合はファイナンスとビジネスの基礎

この講義のガイダンスと第一部でどのようなことを取り扱うか紹介する。後半では割合について検討する。割合概念がビジネスや日常生活で重要なことは間違いないが、割合を正しく運用することは意外と難しく、ここで取り上げるに値する概念であることを紹介する。(担当:瀬下/若山)

2
お金と数学

金融と数学の関係について概説する。単利と複利の基礎的な知識をベースにリボ払いやローン契約などの意思決定にどのように数学的知識が活用されるかについて学ぶ。(担当:瀬下)

3
ビジネスと数学

ビジネスと数学の融合の観点について、一次関数をつかった損益分岐点の求め方、また簡単な条件付き確率計算を用いて、顧客の同時購買について分析するアソシエーション分析を例に解説する。(担当:瀬下)

4
経済学と数学

ゲーム理論の基礎について有名事例を用いながら説明する。囚人のジレンマの構造が経済学の理論にどのような影響を与えたかについても議論する。また家庭内の身近な事象(どのTV番組をみるべきか)も数理モデルとして考えることができることを説明する。(担当:瀬下)

5
第一部:総合演習 ケーススタディ この会社に投資すべきだろうか?

第一部の知識を総合したケーススタディを行う。ある会社へ投資の意思決定をする際に、これまで学修してきた数学の知識をどのように使うべきか学修する。(担当:瀬下)

6
コンピュータと数学

第二部のイントロダクション。コンピュータと数学・データサイエンス・ AIについて概説し、数学との関係について説明する。(担当:瀬下/若山)

7
暗号と数学

暗号の種類と歴史を概観し、現在の公開鍵暗号システムに数学的な知識がどのように使われているかについて学ぶ。計算量的安全性の概念を導入する。(担当:瀬下)

8
データサイエンスと数学

現代ではデータの総量がこれまでと比べて急速に増え、大量のデータを要約して理解することがこれまでにも増して必要である。初めに概論的に現況を説明したのち、適切な可視化がデータの隠れた関係を見せてくれることを学ぶ。(担当:瀬下)

9
確率の考え方

確率的な考えに親しむことは、意思決定の際に重要であり、この回では条件付き確率の計算について説明する。既存の、新規の情報が確率を変えるという視点から問題について考え、最後にはベイズ統計学の考え方についても概説する。(担当:瀬下)

10
第二部総合演習: ケーススタディ データ分析実習

日本の公的統計データを用いて可視化や要約の手法や、その解釈について学ぶ。(担当:瀬下)

11
論理と数学

間違った推論による、間違った法適用の例を題材に、命題とその連なりである推論について学ぶ。法律の運用には正しい論理が必要であり、その形式化について学修する。(担当:瀬下)

12
政治と数学

投票のルールによって当選者が変わることを題材に政治と数学の関わりについて学ぶ。また望ましい社会を考える上で、数学的な議論が有用であることを人口倫理学(population ethics)の観点から考察する。(担当:瀬下)

13
音楽と数学

音楽と数学の不思議な関係について、ゲストの講師を招き対談形式で学ぶ。前半は音階や和音の数理的な分析について、後半はシンセサイザーと紐づけて、三角関数と波の関係やフーリエ級数の考え方を紹介する。(担当:瀬下)

14
デザインと数学

数学の主な興味の対象として数と共に「かたち」がある。かたちに関する数学の知見が社会にどのように応用されているかについて概説する。特にルネサンスの絵画に見られる遠近法の手法や、トポロジーの考え方の応用事例としてロボティクスとの関連などを扱う。(担当:瀬下)

15
心と数学

人の心と数学の関係について、心理学と行動経済学の事例から学ぶ。心理学では統計的な分析が重視されており、因子分析等の手法で性格診断が構成されていることを紹介する。また行動経済学の有名事例(リンダ問題)を題材に、合理性だけで解決できない、人間の行動の特性についても考える。(担当:瀬下/若山)

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