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科目の概要

現代社会における科学の成果から出発し、その元となった科学的発見やエピソードへと遡ることで、科学技術の歴史の全体像を学ぶ(時系列ではなく、昔と今を比較し、現代科学から過去に飛ぶ「逆さ科学史」)。現代が「科学技術社会」であることを理解し、進化、RNA、量子といった科学のキーワードの起源を理解する。教養を高めるとともに、ビジネスなどへ応用できる基礎を築く。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
MTH-1-C1-0204-002
到達目標
ニュートンは実際に木からりんごが落ちたのを見て万有引力を発見した、というエピソードは、本人の書き遺したものには見られないことや、ガリレオの宗教裁判が、科学対宗教という単純な構図ではなかったことなど、ステレオタイプな通俗科学史から脱却して、「その当時、本当は何が起きていて、それが現代の科学技術にどのような影響を与えているのか」を理解してもらうのが目標。それはつまり、科学や技術や歴史に対して、学生一人ひとりが「批判的思考」をする習慣をつけることにほかならない。単なる元号の暗記ではなく、人類の科学の発展と未来について、考えてもらいたい。
教科書・参考書
  • 【教科書】オリジナル教材【参考書】竹内薫『闘う物理学者!天才たちの華麗なる喧嘩』(日本実業出版社)、2007/竹内薫『アバウトアインシュタイン―70のミステリー』(中公文庫),2010
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学修内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
ガイダンス

東浩紀(思想家、科学史・科学哲学専攻)との対談を通じて、なぜ現代人にとって「科学史」を学ぶことがこれまで以上に大切になってきているのか、学生諸氏に理解してもらう。その上で、現代社会で使われている産業テクノロジーの背景に基礎科学があったことを伝え、科学史の授業への導入としたい。

2
科学以前の地球と生命

科学史以前の地球生物史を概観。生命の歴史が絶滅のくりかえしであったことを学び、環境変化に適応することの難しさ、厳しさを知ってもらう。また、ホモ・サピエンスが抱える進化的、遺伝的な脆弱性にも触れる。

3
ダーウィンと進化論

進化論については、多くの誤解がまかり通っている。たとえば、人類が猿から進化した、というようなステレオタイプ的な誤解がある。ダーウィンの著作を紐解きつつ、現代生物学が到達した「進化論の今」を学ぶ。

4
コペルニクス的転回

天動説から地動説へのパラダイムシフトがどのように起きたのかを学ぶ。また、コペルニクスやガリレオやニュートンがキリスト教と対立していたわけではなく、神の摂理を知るために研究していた当時の社会事情なども理解してもらいたい。

5
ワクチンの父ジェンナー

新型コロナ禍で急に注目が集まったワクチンの歴史を学ぶ。また、日本特有の問題として、ゼロリスクを求めたり、マスコミが扇動的に報道したりして、ワクチン接種の勧奨が中止に追い込まれた不幸な事件(子宮頸がんワクチン問題)にも触れる。正しい科学的な理解をすることが、自分や家族の命を守ることを、科学史から学ぶ。

6
大陸移動説とウェーゲナー

いまでは誰もが知っている大陸移動説だが、ウェーゲナーが仮説を提示した当時は、大きなパラダイム・シフトが求められたため、なかなか科学者にも受け入れられなかった。地震や火山の多い日本の視点から大陸移動について考える。

7
プラスチックの発見

あたりまえすぎて、誰も気にしないプラスチック。その発見への道のりをたどり、化学が世界を変えてきたことを学んでもらう。同時に、マイクロプラスチック問題などの環境への影響や対策についても考えてもらう。

8
コンピュータの父チューリング

現代コンピュータの父と呼ばれるアラン・チューリングの人生と発見・発明について概観する。また、彼が当時のイギリスでゲイであることを理由に逮捕され、自殺に追い込まれたことや、現代の最新技術である量子コンピュータにも言及する。

9
量子の発見

第四次産業革命の主役は人工知能だけではない。第二の主役である量子技術を理解するために、20世紀の量子力学の発展を概観する。偶然発見された量子の背景に、溶鉱炉という産業が存在したことなども知ってもらいたい。

10
科学史と科学哲学

各論で学んできた科学史の背景として、学問としての科学史(および科学社会学、科学哲学)がある。科学史家は、どのような考えで科学の歴史を研究しているのかを理解してもらう。

11
絵画からアニメまで

現代の写真、動画、映画、アニメへとつながる絵画の歴史をひもとく。特に遠近感をあらわすためのパースペクティヴの発見を理解する。

12
女性科学者たちの光と陰

女性科学者に焦点を当てて、科学とジェンダーの問題を考える。なぜ、女性のノーベル賞受賞者は少ないのか、なぜ、女性の大学教授や研究者は少ないのか。現代社会が抱える問題と解決策について議論したい。

13
ロケットの発明とフォン・ブラウン

そもそものロケットの原理が、戦争時における砲弾の研究に始まり、第二次世界大戦中のミサイルの原型にあったことを知る。また、未来の宇宙産業の可能性も探る。

14
アインシュタインと宇宙論

世界一有名な科学者と言っても過言でないアルバート・アインシュタイン。相対性理論の誕生から宇宙論への応用までを概観する。

15
まとめ

14回の授業で深く触れることができなかったことについて補足説明をしたい。また、せっかく学んだ科学史を実生活でどう役立てればいいのかについてもヒントを与えたい。

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