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科目の概要

約数・倍数などの初等的な整数の性質から始めて、ユークリッドの互除法、素因数分解などの初等整数論の基本を履修する。その後、合同式やフェルマーの小定理など、整数のより進んだ性質に進み、最終的には、その応用としてRSA公開鍵暗号の仕組みをブラックボックスなしで完全に理解することを目指す。

科目情報

履修想定年次
1年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
MTH-1-C1-1030-003
到達目標
● 整数の整除関係の基本および「割り算」だけから、整数の深い性質や定理が導かれることを理解する。 ● 整数の一般的性質のような地味にみえる事項が、RSA公開鍵暗号のような実用的な技術に直接的につながっていることを理解する。 ● RSA公開鍵暗号の仕組みをブラックボックスなしで、自分の理解として体得する。
教科書・参考書
  • 【教科書】N予備校教材『抽象代数学への招待』2021【参考書】『天に向かって続く数』(加藤文元・中井保行/日本評論社)2016
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学修内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
整数と整除

初等整数論に入門し、整除関係の基礎および最大公約数について理解を深める。

2
ユークリッドの互除法①

ユークリッドの互除法の手順を導入し、それを使って最大公約数が計算できることを理解する。

3
ユークリッドの互除法②

ユークリッドの互除法という手順自体を客観的に考察し、この手順が「停止する」ことの意味を理解する。

4
ユークリッドの互除法③

ユークリッド互除法が最大公約数の存在だけでなく、その深い性質をも明らかにすることを確かめる。

5
素数

素数の概念を導入し、定義の性質(既約元としての性質)よりも強い性質(素元としての性質)をもつことを確かめる。

6
素因数分解①

素因数分解を実例によって復習し、素因数分解において重要なのは「一意性」であることを理解する。

7
素因数分解②

素因数分解の一意性の重要性を理解するために、約数の決定問題について一般的な視野を得ることを目指す。

8
素因数分解③

素因数分解の一意性の証明を理解し、その証明の議論の構造を鳥瞰的視野から概観する。

9
合同式①

合同式を導入し、合同式を含んだ式の計算に慣れる。

10
合同式②

合同式によって初等整数論の本格的な問題を考察し、合同式が極めてよい見通しを与えるものであることを理解する。

11
剰余の数

合同式からさらに進んで、各々の整数を「合同式」的に捉える方法として剰余類の考え方に慣れる。

12
既約剰余類群

既約剰余類の全体がなす群について、実例や計算例を通じて理解を深める。

13
フェルマーの小定理とオイラーの定理

既約剰余類群の群論的考察からオイラーの定理やフェルマーの小定理が得られることを理解する。

14
RSA公開鍵暗号

合同式や剰余類の考え方を用いて、RSA公開鍵暗号の仕組みを理解する。

15
復習と展望

割り算やユークリッド互除法から合同式・剰余類へと進むストーリーを復習し、その先の発展について見通しをもつ。

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