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デジタル・マーケティング

[2026年度開講]

科目の概要

企業マーケティングは、今や日々発生する膨大な量のデジタルデータの処理・分析を前提に進化している。本科目では、企業が利益を上げて設定した成長目標を達成できるための礎となるマーケティング全般の基礎を教示する。具体的には、デジタルツールを用いたデータの収集・集計・分析の基礎を伝え、それら解析結果を活用して、当該企業が顧客に提供する価値がその商品・サービスの購入・消費において的確に伝えられる方策を提示する。

科目情報

履修想定年次
2年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
ECON-2-C1-0204-004
到達目標
ビジネスにおけるマーケティングの役割、および顧客理解とブランディングについての基礎的な概念の理解に始まり、デジタル社会のマーケティングに欠かせない個別のメディアの使用法を実践的な事例から習得する。起業やマーケティングのキャリアの入り口に立つために必須の視点と、デジタルツールを用いた情報収集・編集能力や、ビジネスにおけるゴールを達成する力を身につける。
教科書・参考書
  • PhilipKotler(著),KevinLaneKeller(著)「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」丸善出版(2014/4/19)伊藤穰一(著)「テクノロジーが予測する未来web3、メタバース、NFTで世界はこうなる」SBクリエイティブ(2022/6/7)菅野誠二(著),千葉尚志(著),松岡泰之(著),村田真之助(著),川﨑稔(著)「価格支配力とマーケティング」クロスメディア・パブリッシング(2023/6/30)
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回1時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebや参考書で調べるなどしてください。特にこの科目はデジタル関連であるため、不明な専門用語や概念についてはネットで検索すると、非常に多岐に亘る解説がヒットします。自分がよく分っていないポイントについて、分かり易く説明したサイトを見つけ復習予習に活用することは、その活動そのものがデジタル・マーケティングの第一歩となることでしょう。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
イントロダクション

オンライン・マーケティングが黎明期を迎え、更に企業実務に巨大な情報システムが活用されるようになり、物流管理や商品・サービス管理、顧客管理に至るまで統合的に巨大な情報システムに管理されている状況を概観し、その描像下で学ぶべきマーケティング諸課題を概観する。

2
基礎編:データに基づくマーケティングの基本1

マーケティングをオフライン・オンラインと区分することがよく行われるが、実態としては1で述べたように、今や原則はほぼ全ての企業データがデジタル化されており、マーケティングの基本原理を旧来的なマス・マーケティング(オフライン・マーケティング)の原理原則に則りつつも、実態として扱うデータはほぼ全てデジタルデータという座組になる。このような構造理解を最初に認識しつつ、先ずは原理原則であるマス・マーケティングの基本を学んでいく。

3
基礎編:データに基づくマーケティングの基本2

前項で企業・事業の階層でビジネスシステム(バリューチェーン)という大枠においてマーケティングを考える場合のフレームワークと分析を導入したが、本講では更にSWOT分析を中心にPEST分析など主要な分析フレームワークを導入し、具体的な活用例を解説し、更により商品・サービス個別レベルでマーケティングを捉えるマーケティング・ミックス(4P)のフレームワークと分析について詳述していく。

4
基礎編:ブランディング

ブランディングとマーケティングはお互いに相補い合いながら、ブランドマーケティングとして企業の付加価値の源泉たる商品・サービスが顧客に選択的に購入・消費されるように競合差別性・優位性を発揮する企業活動となるが、本講ではそのブランディングの基礎的な考え方を解説する。

5
基礎編:顧客理解・管理

ここまで説明してきた(マス)マーケティングとブランディングは、どちらも企業が自社の商品・サービスを提供する(購入してもらい、消費してもらう)対象としての顧客を前提に営まれる企業活動である。主要なステークホルダーである顧客というものを一段階掘り下げていき、市場全体のなかで、自社商品・サービスへのロイヤリティを強く持ち、選択的に当該商品・サービスを消費する一群の顧客グループが存在する。そのようなグループをセグメント(層)と認識し、如何に適切に顧客セグメントを捉え、選択的にブランドマーケティングしていけば良いのか、顧客理解とその管理の実際について学ぶ。

6
基礎編:プロモーションとマーケティングリサーチ

カスタマー・ジャーニー(C/J)を企業ブランド側が綿密にプラニングしたうえで、具体的な顧客の消費にいたるまでの重要なステップ毎に、企業ブランド側からどのようなマーケティング施策を講じていくのか、それらの総体が4Pの一つであるプロモーションである。本回ではプロモーションの全体観を捉え理解し、その効果測定としての様々な指標をどう測定するかのマーケティングリサーチについて解説する。

7
デジタル編:企業の情報システムとデジタルシフト

第1回で概説したように企業が大規模な情報システムを導入し、あらゆる企業活動がデジタルシフトしていく潮流の下で、マーケティングもデジタル化が加速している。このような遷移のなかで、マーケティングがオンライン化、デジタル化していっている状況を概観し、マーケティングの実態がどう変化しているかを説明し、マーケティングのオペレーションにどのような変化対応が必要かを説明する。

8
デジタル編:ネット広告(ペイドメディア)

1995年に日本でインターネットサービスが開始されて以降、特に2000年代初頭から広告においてインターネット広告(WEB広告)が伸長してきた。黎明期のバナー広告から、様々なアドテクノロジーの進化発展に伴い種類が増え、課金方式も拡がってきているネット広告の現状を概観し、効果的な4P施策の展開にどのように運用されているのかを概説し、その課題についても論じる。

9
デジタル編:オウンドメディア

インターネットが隆盛を極めるに従い、ネットをメディアとして活用する企業の広告広報活動が盛んになっていった。現在特に隆盛を極めているソーシャルメディアは、その誕生期にはearned mediaと括られて、それ以外の企業サイトを中心とするowned media、そして前回詳細に説明したネット広告をpaid mediaと分類するトリプルメディア(triple media)という捉えられた方から始まった。今回は、その概説をしたうえで、owned mediaの代表格としての企業サイトをマーケティングに活用する詳細について見ていこう。

10
デジタル編:ソーシャルメディア

トリプルメディアの最後の一角を占めるearned mediaは、ネット黎明期の2チャンネルやブログといったカテゴリを、2010年前後からアメリカから導入されたフェイスブックやツイッター(現在のX)、その前に日本のネット業界を席巻していたmixiなどのソーシャルメディアが主流となって役割交代している。しばしば”炎上”という現象を引き起こし、全国的なニュースにすらなるような主客逆転した状況に至ったソーシャルメディアについて詳しくみていく。

11
統合編:情報システムがもたらす統合ブランドマーケティングの全体像とその運用の意味合い

第1回や第7回で説明したようにコンピューティング技術とメモリ容量の飛躍的増大、通信速度増大と技術進化がもたらした、社会のデジタル化により、企業のマーケティングも根本的なデジタル・パラダイムシフトを起こしている。この状況下に旧来的なマス・マーケティングとオンライン・マーケティングを統合したという単なる足し算的な見方ではなく、抜本的な変革として捉えた統合的なブランドマーケティングの在り方について論じていく。

12
実践編:未来予測とバックキャスティング

第5回で詳述したようにマーケティングにおいて、主要ステークホルダーで企業ブランドの商品・サービスを購入する顧客に、企業はそのビジネスシステム・バリューチェーンにおいて付加する価値を提供する。それは第4回で述べたブランディングにおけるブランド価値規定やブランド価値連鎖でも同様に顧客に価値を与えることが企業ブランディングの主眼になっている。そうした視座に立つと、企業が狭義に商品・サービスを新規開発する場合を含めて新規にビジネスを立ち上げていく場合、その事業なり、商品・サービスが市場で一定度合い受容されている数年後程度の未来において、その時点での社会世相含む3Cなり6Cフレームで考える未来描像で、どのように価値を提示できているかという”未来描像”を把握し、その未来描像に則った提供価値を予想して新規に事業を構想しなければならない。このように未来予測は新規ビジネス創成の考案に必須のものとなる。この枠組みを今回は詳述していく。

13
実践編:デザイン・シンキング

新規事業創成において、企業内の様々なファンクションの部署の中核人材をクロスファンクショナルにチーム組成し、未来予測をしながら、当該新規事業が見込み顧客に提起する価値を予測し、その描像に基づき、招集された社内の種々の役割の立場から、新規事業を肉付けしていくワークショップを中核とする考案手法であるデザイン・シンキングを詳述していく。

14
実践編:カスタマー・ジャーニーとカスタマー・エクスペリエンス

13回で解説したデザイン・シンキングの手法を適用して新規ビジネス開発を考案する際に、デザイン・シンキングの帰結に基づき第5回で取り上げた顧客の視点で、カスタマー・ジャーニーも詳細に規定し、そのジャーニーをこなす見込み顧客が実際に当該ブランドを消費する経験たるカスタマー・エクスペリエンスとしてどのような果実を経験すべきかを企業ブランド側で事細かく想定し規定しておく必要がある。その実際を解説していく。

15
総合まとめ

旧来的なマス・マーケティングを皮切りに、社会のデジタルシフトに連動して企業のあらゆる活動がデジタル化され、膨大なデジタル・データが日々、時々刻々と生成されている状況下でのマーケティングについて、ブランド論の説明も含めブランドマーケティングとして、その最新の実例を手がかりにデジタル・マーケティングとして説明してきた。最終回ではその復習と、具体的に受講生の皆さんが具体的に考案したいプロダクト(商品・サービス)を例に取ると、どのような手順と方法で本科目で論じた手法を適用できるか、まとめとして示していこう。

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