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交渉・合意形成概論

[2026年度開講]

科目の概要

2人以上の人間や集団の間では、利害が完全に一致することはない。デートの場所の決定から国際紛争の解決に至るまで、合意を達成するには、何らかの交渉が必要となる。ビジネスの大部分は組織内外の利害関係者との交渉に絡んでおり、またほとんどの政策は利害団体の間の連続的交渉によって決定される。本科目は、交渉に関する科学的知見を分野横断的に提供するとともに、交渉力をつけるための実践的方策を提供する。

科目情報

履修想定年次
2年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
ECON-2-C1-0204-007
到達目標
返報原則、依存関係など、交渉や合意形成に作用する基本的な概念やさまざまな交渉戦略・戦術を分野横断的に理解し、それらを日常生活やビジネス、政策実行の場面などで総合的に使うことによって、たとえ一見不利で困難な状況であったとしても、「関心利益の実現」という関係者間の相互の目的に沿った交渉を粘り強く展開できる能力が身につく。
教科書・参考書
  • 印南一路「交渉学が君たちの人生を変える」大和書房(2018/12/20)
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
イントロダクション

私たちの人生は交渉に満ちています。デートの場所の決定、就職面接、会社における調整会議まで、すべてが交渉です。この授業は、交渉そのものについての理解を深め、受講者の交渉力を高めることを目標にします。

2
交渉の基礎概念

交渉の最も基礎的な概念を学びます。中古車の売買を行う場合、最初にどちらがいくらの価格を提示するかが、結果に大きく影響します。ここでは交渉の基本概念について学びます。

3
交渉における利益概念

交渉における利益概念について学びます。交渉というと価格交渉を思い浮かべるかもしれませんが、交渉するのは価格などの経済的利益だけではありません。今回は、重要な関係の利益について考えます。

4
交渉プロセスに働く力

交渉には、コミットの継続によるロックインと、譲られたら譲り返すという返報原則が働きます。どちらの力も強いので十分な準備をしないと追い込まれます。準備なき交渉は無謀です。

5
交渉の戦略と戦術1

交渉における基本戦略と戦術についてまとめます。準備の仕方、何を事前に分析するのかを中心に説明します。

6
交渉の戦略と戦術2

今回は、論点が多数あるビジネス交渉を念頭に、交渉の準備の仕方を学ぶ。①相互依存関係の分析、②自己と相手の利益分析、③交渉の目標設定、④選択肢の生成、⑤シナリオ設定、⑥創造性発揮の順に説明する。

7
きわどい交渉術1

「きわどい交渉術」は、必ずしも使い手に悪意があるとは限らず、また明確に反倫理的ではないが、使い方によって誤解される可能性がある交渉術です。防衛と自制という二つの予防の意味で学んでいきます。

8
きわどい交渉術2

今回は返報原則を悪用する迎合的関係形成をあげます。お世辞や取り入り、相手意見への同調や「進んで頼まれる」、プレゼント等です。相手や状況によっては、思わぬリアクションを生むので、注意しましょう。

9
きわどい交渉術3

今回はゲームズマンシップをとりあげます。意図的にイライラさせたり、テンポを突然変えたり、泣き出したりすることが例です。演技である場合が多く、意図が心理的動揺と妥協誘導だとわかれば、ほとんどの効力を失います。

10
交渉と信頼

信用は安全装置に過ぎず、信頼は社会的リスクをとる勇気ある行動です。相手を信頼するのは容易でありません。疑心暗鬼による自己実現予言と闘いましょう。適度な情報提供と相手を見抜く人間力が必要になります。

11
感情と交渉

交渉相手がネガティブな感情を持っていると交渉が困難になります。感情の種類は多く、しかも刻々と変化します。感情に対処するのではなく、ネガティブな感情を生み出す欲求に着目します。

12
困難な相手との交渉

困難な交渉相手のほとんどは、交渉を勝ち負けでしか見ない者、それゆえ「きわどい交渉術」を使う者、感情的な者ですが、圧倒的なパワーを持っている相手もこれに該当します。対処方法を考えます。

13
交渉と倫理

交渉では、認識操作をするために、ウソに近い情報提供も頻繁に行われます。また、一部の企業や経営者は、適者生存、弱肉強食と言った極端なビジネス倫理をもっています。対処方法を考えましょう。

14
経営・政策と交渉

経営・政策と交渉の関係を考えます。経営組織の意思決定は組織内交渉でもあります。政策は、多くの利害団体・組織による連続的な交渉プロセスで決まります。意思決定のガバナンスが重要になります。

15
まとめ

目先の交渉術よりも中長期的な戦略の方が重要です。科学的に分析し戦略的に考察するとともに、自分の感性を磨きましょう。交渉における自分の癖や弱点を把握し意識的な努力をすれば、必ず交渉能力は改善できます。

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