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科目の概要

本授業では、主な文学的な批評理論・概念を紹介しながら、それを応用して具体的な文学作品を解読し、文学の視点から我々が現在直面している様々な社会問題について考えたい。国内外の文学作品から具体例を提示し、急速にグローバル化された社会において活躍するために基礎となる人文知識と概念について学んでいく。

科目情報

履修想定年次
2年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
HUM-2-C1-0204-004
到達目標
本授業では、文学作品を分析するための主な文学理論について知識を得ながら、実際に文学理論を応用して文学作品を分析できる能力を身につけることができる。また、文学作品や評論の読解力が身につき、思考力、表現力も育成することができると共に、文学の視点で日常生活に面する社会問題について考える能力を身につけることができる。
教科書・参考書
  • 佐々木英昭編「異文化への視線-新しい比較文学のために」(名古屋大学出版会、1996年)、稲賀繫美編『異文化理解の倫理にむけて』(名古屋大学出版会、2000年)、日本比較文学会編「越境する言の葉―日本比較文学会学会創立六〇周年記念論集」(彩流社、2011年)
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
オリエンテーション:批判的な文学とは何か?「日本文学」とは何か?日本の国民国家形成と「日本文学」の成立

本講義では、文学的な批評理論とは何かを確認し、主な理論的な概念について触れながら、現代を生きる上で批評はなぜどのように重要ななのかについて学びます。

2
文化的コモンズを考える:文化とオリジナリティ―

本講義では、芸術の共通性・独自性について触れ、インドの叙事詩『ラーマーヤナ』を事例に文化的コモンズとは何かについて学びます。

3
文化的コモンズを考える:ロラン・バルト「作者の死」論

本講義では、ロラン・バルトの「テキスト」論を紹介した上で、『方丈記』を事例に、日本的とそうではない側面について学びます。

4
文化と権力:夏目漱石の『方丈記』英訳を読む

本講義では、夏目漱石の『方丈記』理解を具体例として、権力構造と文化の生成・形成過程との関連性について学びます。

5
文化と権力:近代日本文学の成立と出版業界

本講義では、日本の近代文学の成立における出版業界・財界の関係について学びます。

6
エコクリティシズム論:日本文学に見る自然観―「自然」は造られたものか

本講義では、エコクリティシズム論を紹介し、日本文学における自然はいかにして造られたものなのかについて学びます。

7
エコクリティシズム論:日本文学に見る「終末論」

本講義では、世界の主な文化圏における「終末論」信仰について紹介しつつ、エコクリティシズム論の視点から多和田葉子『献灯使』に見る終末観について学びます。

8
人新世と文学:日本古典文学にみる人間・非人間の関係

本講義では、「人新世」論の概要について紹介し、日本の古典文学作品から具体例を提示しながら人間・非人間の関係について学びます。

9
人新世と文学:桜庭一樹『伏 贋作・里見八犬伝』に見る非人間の描写

本講義では、現代日本の女性作家である桜庭一樹『伏 贋作・里見八犬伝』を事例に、古典文学の再生に踏まえつつ、この作品に見る人間・非人間の関係について学びます。

10
人新世と文学:エコクリティシズムを超えてポスト3・11文学を読む

本講義では、いわゆる「3・11文学」を紹介し、人間の行為によるもたらした災害について東日本大震災後の日本の文学作品でどのように描かれたのかについて学びます。

11
人新世と文学:アミタヴ・ゴーシュ『大いなる錯乱 気候変動と〈思考しえぬもの〉』を読む。

本講義では、インドの小説家アミタヴ・ゴーシュ『大いなる錯乱 気候変動と〈思考しえぬもの〉』を事例に、人間の行為と災害(気候変動)の関係について学びます。

12
文学ジャンルの変容と再生される文学:バジル・バンティングのChomei at Toyamaについて

本講義では、『方丈記』のアダプテーション作品を取り上げ、芸術ジャンルの変容と文化再生の過程について学びます。

13
文学ジャンルの変容と再生される文学: 漫画化された『枕草子』

本講義では、日本の古典文学作品の漫画化への試みと、その過程で再生される新しい文学について学びます。

14
文学と災害:日本文学に見る災害

本講義では、日本の中世時代に書かれた文学作品『方丈記』の災害描写について紹介し、近現代の文学作品や作者によるこの作品の受容について学びます。

15
文学と災害:日本文学に見る災害

本講義では、夏目漱石の『吾輩は猫である』にある痘痕に関する記述を事例に、日本の近代化・植民地など問題について学びます。

関連科目