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科目の概要

現代世界は政治に満たされている。哲学も政治の道具となっている。しかし、そもそも哲学とは「政治の外」を考える営みであり、また人間を政治から自由にする手段でもあった。 本講義では、「政治を超える哲学Ⅰ」を踏まえたうえで、まず言語ゲーム論を学び、つぎにルソーとドストエフスキーという2人の古典を読みながら、「政治」と「その外部」について考える。学生は政治思想の基礎概念(一般意志)やロマン主義文学の基礎的な知識も学ぶことができる。 授業は基本的に講義形式だが、各回必ず質疑応答時間を取る。積極的な質疑は評価の対象となる。また学生発表を組み込んだ回も入れる(発表内容は別途授業内で指示する)。発表も評価点に加わる。なお、紹介する文献、学生発表の対象とする回などは授業の進行に応じて変更される可能性がある。

科目情報

履修想定年次
2年次
単位数
2単位
開講Q
1-2Q
科目区分
選択
授業の方法
演習科目
評価方法
レポート60%、発表・発言40%
科目コード
HUM-2-C3-1200-009
到達目標
本授業を通じて、学生は、20世紀以降の哲学の基礎的な語彙と考えかたを身につけることによって、現代社会の分析をより精緻にできるようになる。人文系の知識を活かしてより総合的に将来について考えることができるようになる。
教科書・参考書
  • 東浩紀『観光客の哲学増補版』、ゲンロン、2023年東浩紀『訂正可能性の哲学』、ゲンロン、2023年東浩紀『訂正する力』、ゲンロン、2023年ウィトゲンシュタイン『哲学探究』クリプキ『ウィトゲンシュタインのパラドックス』ルソー『社会契約論』ドストエフスキー『地下室の手記』ミハイル・バフチン『ドストエフスキーの詩学』アレクシ・ド・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
オリエンテーション

1回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

授業の趣旨を説明し、哲学を学ぶときの心構え、参考文献の入手方法などを教える。

2
言語ゲーム論1

2回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

言語哲学とプラグマティズムの基礎的な歴史を学ぶ。

3
言語ゲーム論2

3回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』と『哲学探究』を読みながら、言語ゲーム論の基礎的な知識を学ぶ。

4
言語ゲーム論3

4回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

クリプキ『ウィトゲンシュタインのパラドックス』を読むことで、言語ゲームの理解を深める。

5
言語ゲーム論4

5回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

クリプキ『名指しと必然性』を読み、言語ゲーム論と固有名論の関係を学ぶ。

6
まとめ

6回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記4回の授業をまとめ、人間のコミュニケーションが常に開放的であり、固定的なルールで統御できないことを学ぶ。(※学生発表あり)

7
ルソーを読む1

7回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『学問芸術論』『人間不平等起源論』などの内容を紹介し、ルソーにおける「自然」と「文明」の関係について学ぶ。

8
ルソーを読む2

8回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『社会契約論』を紹介し、ルソーの一般意志の概念、とりわけその共同体構成の論理について学ぶ。(※学生発表あり)

9
ルソーを読む3

9回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

『社会契約論』と同時期に発表された小説『新エロイーズ』を紹介し、社会思想と表裏になったルソーの実存思想について学ぶ。

10
ルソーを読む4

10回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

晩年の文学作品『告白』を紹介し、ルソーの思想を貫く「透明性への希求」について学ぶ。

11
まとめ

11回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記4回の授業をまとめ、近代民主主義の起源であるルソーにおいて、政治的思考と文学的思考が相補的な関係にあったこと、その相補性を理解しないと民主主義の理解をまちがえることを学ぶ。

12
実存と対話と政治1

12回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ドストエフスキーの小説『地下室の手記』を読み、19世紀の社会主義思想にロマン主義作家がどのような論理で抵抗していたかを学ぶ。(※学生発表あり)

13
実存と対話と政治2

13回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ミハイル・バフチン『ドストエフスキーの詩学』を読み、終わらないコミュニケーションとしての「対話」の概念を学ぶ。(※学生発表あり)

14
実存と対話と政治3

14回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

アレクシ・ド・トクヴィルの古典『アメリカのデモクラシー』を読解し、民主主義とは終わらない対話であり、ヴィトゲンシュタイン的な言語ゲームであることを明らかにする。(※学生発表あり)

15
まとめ

15回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

授業全体をまとめ、人間のコミュニケーションにおいては「終わらない対話」「正義の未決定性」が重要であることをあらためて確認し、それを二項対立に封じ込める政治的思考の限界を明らかにする。(※学生発表あり)

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