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科目の概要

メディア革命とグローバル化の中での大学の苦境を人類史的な視野で捉え返す。第1部では、中世西欧の都市ネットワークを基盤とした大学の誕生を論じ、これと日本の「大学」概念の決定的な違いを示す。第2部では、近世以降、大学と出版がいかに絡まり合ってきたのかを、百科全書や図書館、博物館などと結びつけて論じる。第3部では、戦後の大学改革が大学紛争の中で挫折し、1990 年代以降の新自由主義の波を受けていく過程を論じる。

科目情報

履修想定年次
2年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
前提科目
(推奨)
なし
前提科目
(強く推奨)
なし
後継科目
(推奨)
なし
科目ナンバリング
SOC-2-C1-1030-008
到達目標
この授業では、(1)大学と(2)出版を中心とする知識メディアの歴史を扱う。したがって、これらの知の歴史を多様な視座から理解し、批判的に検討することが第1の到達目標となる。第2に、日本語の「大学」と中世世界を基盤に発達してきた〈大学=ユニバーシティ)の概念がどう異なるかを文理の境界を超えて理解する。第3に、戦後に試みられた大学改革が、なぜ新しい社会状況やメディア状況の中で挫折したのかを理解し、大学とメディアの未来像を打ち立てる力を得てほしい。
教科書・参考書
[教科書]
  • なし(オリジナル教材)
[参考書]
  • 教員より適宜指定する
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
前提科目 なし 後継科目 なし 2026年2月27日現在。内容が更新される場合があります。

授業計画

1
大学の苦境 メディアの変貌

日本と世界の大学の現状と困難を概観し、戦後の教育改革やその後の経済成長が、日本の大学のあり方をどのように変えてきたのかを振り返る。また、戦後のメディアの歴史も振り返り、メディア史と大学史の交点について歴史的に展望する。

2
大学の誕生 ――中世都市と移動する自由

大学の原点は、都市から都市へと旅する教師と学生の共同体として出発したことにある。ここではその誕生の背景を歴史的に概観しつつ、そうした大学の根底に「移動の自由」があったことを確認する。

3
大学の死と印刷革命 ――大量複製される知識

活版印刷術は、知の創造と継承の基盤に革命をもたらした。人々は、遠く離れた大学に行くよりも、身近に大量の本を揃えることで知を創造し始め得る。この変化は現代に重なる大変化だった。

4
大学の再生 ――国民国家と第二世代の大学

19世紀初頭、大学は再生する。それを先導したのはベルリン大学で、そこで理念とされたのが「教育と研究の一致」という考え方だった。これは一般にフンボルト原理を言われており、この原理によって大学は新しい知を生み出す場として再定義される。ここに中世以来の第一世代とは異なる、第二世代の大学が誕生したことになる。

5
メディアとしてのアーカイブーー図書館・文書館・博物館

出版の時代としての近代は、図書館、博物館・美術館、公文書館などの新しい公共的な知の空間を発達させてきた。これらの知的機関の歴史と未来から、大学とは異なる公共的な知の空間について考えたい。

6
私塾と帝大ーー近代日本における「大学」の概念

近代日本で「大学」は、西欧の「ユニバーシティ」とは異なる概念として、つまり古代の官僚養成機関の復活として導入された。このことが、日本における大学の困難の根本的な要因としてある。

7
まとめⅠ 第1世代の大学 第2世代の大学

講義の中間的なまとめを行う。大学は、古代帝国の時代が終わり、その遺産の上に中世社会が広がったとき、様々な文明圏で移動する知識人たちにより誕生した。ここではそれ以降の歴史が、いかにメディアと深く絡まり合ってきたかを再確認する。

8
学生街と書店街ーー書物を基盤とする都市文化

近代日本の大学と出版の結びつきを考える上で、東京・神保町は特別な重要性を持っている。多くの大学が神保町から出発し、留学生も出版も神保町が中心地だった。

9
両世界大戦とメディアの変容ーー映画・ラジオ・大衆社会

1920~30年代から第二次世界大戦後までのメディアと教育の関係について概観する。第一次大戦以降、映画とラジオが普及する中で生じた様々な論争、第二次大戦後、放送メディアを使った教育が広がっていく流れを理解する。

10
20世紀日本の大学改革

戦後の大学改革が何を目指したのかを再検討する。戦後日本の大学の発展は、①リベラルアーツ教育の導入、②専門学校や師範学校から大学への転換、②理工系大学・学部の増殖といった特徴を持つ。

11
テレビ時代としての戦後日本ーーアメリカ化とお茶の間での総合

1950年代半ば以降、日本のメディア環境は半世紀以上にわたってテレビが支配的な存在となっていく。この戦後日本のテレビ時代の成立過程を再検討し、その中での教養・教育番組の位置を考えてみる。

12
まとめⅡ 知識文化と視聴覚革命のあいだ

後半の講義の中間的なまとめを行う。教養知のメディアである出版と図書館が一方にあり、大衆文化のメディアである映画やテレビが他方にある布置のなかで、学生文化や都市の文化はどのように変化してきたのかを概観し直す。

13
東大紛争の時代 ――挫折する戦後改革

1960年代後半の大学紛争、とりわけ東大紛争に焦点を当て、大学と学生の関係について再考する。東大紛争は、戦後大学の南原・矢内原的なリベラルアーツ主導の改革が挫折する決定的な瞬間だった。

14
上からの大学改革と21世紀社会

50年代が戦後知識人主導の大学改革の時代、60年代が学生たちによる突き上げの時代だったとするなら、80年代後半以降は国主導の大学改革の時代だった。この第三の転換期がどう生じたのかを解説する。

15
AI社会と大学の未来

21世紀の教育を変化させる最大のモメントとしてAIが加速度的に進化している。そうした中で、「第二世代」から「第三世代」への大学の再定義が必要となる。したがって、第三世代の大学がAI時代とどう対するのかは喫緊のテーマである。

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