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科目の概要

「石器時代が終わったのは石がなくなったからではない」(鉄器などより良いものが創られたからだ)――同様に石油時代も石油の枯渇を待たずに終わるだろう。この言葉は、時代を開くのが資源の「有限性」でなく人間の「創造性」であることを示唆している。イノベーションがすべてを解決するというナイーブな技術信仰ではない。だが21世紀を生きる世代としての想像力を、無意識のうちに20世紀の常識で縛ってはいないか?本講はそんな「心の脱衣」のトレーニングである。

科目情報

履修想定年次
2年次
単位数
2単位
開講Q
3-4Q
科目区分
選択
授業の方法
演習科目
評価方法
発表・発言 50%/グループワーク 50%
科目コード
SOC-2-C3-0034-014
到達目標
「共創地球論」「人新生の人類学」の既習者を対象に、その素養をさらに今後の社会デザインに活かしてゆくために、受講生による企画立案と発表を軸にWS形式で進める。講師による具体的な事例紹介(時にはその実践者をゲスト講師として招聘)を受けて、それをさらに進化させる、或いはそれに拮抗しうるような社会デザインや商品を学生がグループ討議を通じて提案。斬新な発想を事業化してきた起業家も最終審査会に招き、学生のアイデアの「社会化」につなげる。
教科書・参考書
  • 竹村真一『地球の目線』PHP新書・2008年、坂本龍一・竹村真一『地球を聴く』日本経済新聞社・2012、竹村真一『宇宙樹』慶應大学出版会・2004
授業時間外の学修
各回の講義内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学習内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回二時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
「未来」とは何か?

1回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

人間だけが眼の前の現実を超えた大きな過去と未来をイメージしうる。未来を構想し、選択しうるという人間固有の「自由」を自覚してフル活用しよう。未来をデザインするために、目隠しを外すために、我々は過去(歴史)を学ぶ。

2
20世紀の常識で21世紀を制約しないようにしよう

2回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

フィクション(物語)を共有することで人類は協調行動を効率化し、多大な影響力を持つに至った。言語や技術という飛び道具で自らの限界を超える。「着衣の自由」と「脱衣の自由」――自分で着こんだ制約なら、脱ぐことも出来るはずだ。

3
「生命基準」のデザインとは?

3回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

富士山の高さは、こちらも高い場所に登ってこそ初めてわかる。AIやロボットを作り、月まで到達する時代に初めて、ありふれた自然や生命に潜在する「知性」にようやく気づいた。それに学ぶワクワクする日々が始まる。

4
グループディスカッションを経て学生によるプレゼンテーション(1)

4回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記3回の授業を踏まえ、学生有志からの発表

5
「地球食」のリデザイン

5回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

食料不足と飢餓は、人類史を通じて最大の社会課題だった。20世紀後半、人類は史上初めてそれをかなりの程度解決したが、いま新たに「食」が人類社会の最大のリスクとして浮上してきた。その深淵を考察する。

6
ゴミもうんちも存在しない人類社会デザインはいかに可能か?

6回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

自然界には本来、ゴミもうんちも存在しない。江戸という100万都市はそれを人工空間において模倣・実現していたが、それを100億の地球人口で達成する社会技術革新の可能性も見えてきた。

7
「エネルギー」とは何か?

7回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

そもそも、この星には本来エネルギー問題など存在しない。太陽から地球に送り届けられるエネルギーだけでも人類のエネルギー需要の1万倍。エネルギー不足・高騰は私たちの社会のBad Designゆえの「制約」に過ぎない。

8
グループディスカッションを経て学生によるプレゼンテーション(2)

8回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記3回の講義を踏まえ、学生有志からの発表。

9
「人新世」Anthropoceneの技術思想

9回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

人類は遺伝子レベルから生命を再設計し、自然のプログラムを書き換える技術を手に入れた。それを利己的な改変に終らず、地球と人類の共進化につなげるには?環境破壊や気候変動より深く見えにくい次元で「人新世」のリスクとチャンスを考える。

10
グループディスカッションを経て学生によるプレゼンテーション(3)

10回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記の講義を踏まえ、学生有志からの発表。

11
Living Anywhere ーーポスト定住文明と「地球人」の形成

11回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

現在の人種・民族的な多様性は数万年にわたるサピエンスの大移住Great Journeyと環境適応の結果だ。いま再びメガ気候変動期を迎え、地球規模の大移住と人類的リミックスの時代。惑星的な視野で新たな「居住・移住」OSを構想する。

12
創造的マルチハビテーション〜地球のリズムと同期しうる文明デザイン

12回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

未来は予測不能だが、確実な未来もある。プレートテクトニクスから数十年内に予想される首都直下地震や東海東南海津波により数百万人が住処や職場を失い、国家規模の復興が必要になる。変動する地球との創造的共生の「青写真」を描く。

13
グループディスカッションを経て学生によるプレゼンテーション(4)

13回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

上記3回の講義を踏まえ、学生有志からの発表。

14
2050年の地球、2050年の日本

14回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

数十年後、「日本」という国がこのままの形で存在することは自明ではない。「未来は予測するものでなく創造するもの」――どんな国(場)でありたいのか?を構想する力を問う。

15
総括

15回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

学生からの数回にわたる発表をレビューしつつ、ゲスト起業家も交え、アイデアの社会化・事業化の展望について討議する。

関連科目