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科目の概要

まんが、アニメなど現代日本の大衆文化の近代史を「西欧」のグローバル化に呼応するローカライズとして冷静に捉え、近代おたく文化の「方法」と「美学」を中心に1900-2000の「100年のおたく史」を概観する中で「日本ポップカルチャーの伝統起源論」や「作者」「オリジナル」をめぐる思い込みを解体し文化を見る目を再起動する「歴史の見方」を講義する。

科目情報

履修想定年次
3年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
HUM-3-C1-1030-002
到達目標
まんが・アニメ・ゲーム等を領域ごとに分断された政治や社会から乖離した歴史ではない総合的な文化の歴史の見方を身につける。例えば「シン・エヴァンゲリオン」のポスターと同じ構図の画像を歴史的に遡行することで辿り、普段、気にせず受け止めていた表現に「何故」を発見し、それを探究する好奇心と探求の方法を学び、同時に、過去100年の「おたく文化」すなわち複製文化やメディア表現を理解することで次の100年を探求する力を養う。
教科書・参考書
  • 国際日本文化研究センター編『日本大衆文化史』(角川書店、2020年)、ドワンゴ制作「学習まんが「100年のおたく」」(N予備校配信予定)
授業時間外の学修
上記学習まんがで復習・整理をする
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
序論 モンタージュとしての日本

戦時下の日本文化モンタージュ説を概観する。

2
1900〜1919年代 複製芸術とミュシャの時代

明治期のアール・ヌーヴォーの日本化を理解する。

3
1900〜1919年代 ローアングルの鉄塔とカメラを持った男

ローアングルを手掛かりに近代視覚表現を俯瞰する。

4
1920年代 創作するアマチュアの誕生

大衆文化の作者としてのアマチュアを理解する。

5
1930年代 宣伝される大衆の時代

宣伝による大衆動員の時代のあり方を理解する

6
1940年代 メディアミックスの時代

戦時下プロパガンダの手法について理解する。

7
1920〜1940年代 人造人間の時代

人造人間の表彰を手掛かりに大衆文化の人間観を理解する。

8
1931-45年 「大東亜共栄圏」のまんが工作

戦時下「大東亜共栄圏」でまんが・アニメが果たした文化工作について理解する

9
1945-50年代  接続する占領下と戦時下

戦時下プロパガンダの手法と占領下の文化の方法の連続性を理解する

10
1950-60年代  遅れてきたテレビの時代

テレビの戦時下・戦後の「宣伝」ツールとしての役割を理解する

11
1970年  三島由紀夫と コピー文化としての日本

三島由紀夫の日本文化論を手がかりに戦後の大衆文化を理解する

12
1972年〜1980 年 「かわいい」 とサブカルチャーの時代

1970年における高度消費社会への転換と「かわいい」という差異の記号の成立について理解する

13
1980-1990年  世界観と「サーガ」の時代

大きな物語の終焉とその「代替」の文化について理解する

14
1990-2000年  おたくとポストモダン

高度消費社会の差異化のゲームと投稿空間のプラットフォーム化について考える

15
日本大衆文化史の立論

本講義を6つの立論から整理し理解する

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