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科目の概要

本科目では、共通鍵暗号や公開鍵暗号、電子署名などの暗号技術を取り上げ、これらの技術がもたらす安全性とその限界、代表的な実現方法を理解する。歴史的な暗号技術も取り上げ、暗号技術が社会(政治、工業、技術)の発展とともに発展してきたことも理解する。さらに、我々の社会を支える通信技術が、暗号技術の組み合わせにより構成される仕組みを理解する。

科目情報

履修想定年次
3年次
単位数
2単位
開講Q
1Q、3Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
INF-3-C1-1030-004
到達目標
本科目を受講することで、代表的な暗号技術を列挙し、それが通信の中でどのような目的でどのように使われているか説明できるようになる。特に、暗号技術を組み合わせて構成される暗号プロトコルにおける、暗号技術の役割を説明できるようになる。また、それぞれの暗号技術によって保障される安全性とそうでない安全性について説明できるようになる。
教科書・参考書
  • 結城浩『暗号技術入門第3版秘密の国のアリス』SBクリエイティブ、2015年
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学修内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
オリエンテーション・暗号技術概要

本講義の目標と進め方、および暗号の概要について学ぶ。暗号技術が歴史に影響を及ぼした事例や歴史的な暗号を通じて、暗号技術の基本的な概念と、暗号技術と社会の繋がりを学ぶ。

2
歴史上の暗号(1)

単一換字暗号を通じて、総当たり攻撃や頻度分析といった古典的な暗号解読技術について学ぶとともに、暗号とセキュリティの常識や、ステガノグラフィといった講義の暗号技術についても学ぶ。

3
歴史上の暗号(2)

歴史上の暗号としてより進んだ暗号であるエニグマを取り上げ、頻度分析への耐性などの改良、鍵の運用の難しさ、解読技術の発展、および、暗号技術の政治における位置づけを学ぶ。

4
共通鍵暗号(1)

電子計算機およびそれを用いた暗号解読の発展を通じて、計算機・通信の進歩に応じて現代的な共通鍵暗号がどのように発展してきたのか学ぶ。

5
共通鍵暗号(2)

標準的な共通鍵暗号技術であるDESを題材として、一般的な共通鍵暗号の仕組みや構成法、安全性について学ぶとともに、暗号技術の標準化、ブロック暗号の利用モード、共通鍵暗号を用いた認証方式について学ぶ。

6
公開鍵暗号(1)

鍵配送問題の難しさについて理解し、公開鍵暗号の画期的な特長、および代表的な共通鍵暗号であるRSA暗号について学ぶ。

7
公開鍵暗号(2)

公開鍵暗号についての基本的な事項、量子計算機との関係、ハイブリッド暗号システム、および、関連する話題として暗号技術との輸出規制と通信の匿名性について学ぶ。

8
一方向性ハッシュ関数

一方向性ハッシュ関数とはどのようなものか、安全性と具体例について学ぶとともに、その応用について学ぶ。

9
メッセージ認証コード

メッセージ認証コードとはどういうものか、利用の方法、保障される安全性、利用例、実現方法について学ぶ。

10
デジタル署名

デジタル署名とはどういうものか、利用の方法、保障される安全性、利用例、実現方法について学ぶ。

11
証明書

デジタル署名を利用した証明書や公開鍵認証基盤の仕組みについて、実際に手を動かして証明書を触ってみて学ぶ。

12

暗号技術を利用する上で重要な対象である鍵について、その作成・管理・共有方法などについて学ぶ。鍵の一種としてのパスワードについても学ぶ。

13
乱数

鍵を作成したり、暗号技術の強度を高めるために不可欠である、乱数について基本的な事項を学ぶとともに、これまでに学んできた暗号技術についてまとめ、暗号技術とセキュリティの常識についても学ぶ。

14
SSL/TLS

暗号技術を組み合わせて構成される重要な通信方式であるSSL/TLSについて、その仕組と限界について学ぶ。より進んだ話題としてハンドシェイクの課題や、ユーザ認証についても学ぶ。

15
ブロックチェーン

暗号技術を組み合わせて構成される比較的新しい技術としてブロックチェーンを取り上げ、その仕組みと社会的影響について、セキュリティ・インシデントにより多額の損害が出たケースも交えて学ぶ。

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