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科目の概要

曲がった空間での微積分を行う枠組みである「多様体」について、その基本概念からより高度な幾何学を展開するための道具までを、一貫して学修することを目的とする。具体的には、多様体の定義や基本的な例の紹介から始め、その上での微分の枠組みを学ぶ。接空間やベクトル場、微分形式という基本的な道具の使い方を修得し、ベクトル束やリー群、リー代数を通じて幾何学を深く理解する。さらに、リーマン計量や測地線といった微分幾何学の概念を組み込むことで、数理科学の高度な理解が可能となる。この結果として、現代数学の中で重要な位置を占める多様体についての理解を深め、その応用力を身につける。

科目情報

履修想定年次
3年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
MTH-3-C1-0204-003
到達目標
「多様体」は現代数学の根幹をなす概念で、"曲がった空間"での微積分を可能にするための枠組みである。本科目を修得すると、多様体の定義からベクトル束やリー群、リー代数などの高度な幾何学を展開するための道具を理解し、使用することが可能となる。また、微分幾何学の基本的な概念であるリーマン計量や測地線について理解することで、多様体がもつ幾何的性質を詳しく調べるための手段を学修する。これにより、数学において空間という概念がどのように拡張されたかを理解する。
教科書・参考書
  • 【教科書】オリジナルテキスト【参考書】トゥー多様体(トゥー著、枡田幹也、阿部拓、堀口達也訳/裳華房)、多様体入門(坪井俊/東京大学出版会)2005
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学修内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
ガイダンス

多様体の概念を学ぶ準備として、多変数の微積分、ユークリッド空間の接ベクトル、陰関数定理、ユークリッド空間の微分形式について復習する。

2
多様体の定義と例

ユークリッド空間内の曲面や多様体を理解し、多様体の定義とそれについての具体的な例を学ぶ。

3
多様体上の写像

多様体上の滑らかな関数や多様体の間の滑らかな写像について理解を深める。微分同相写像について探求し、さまざまな滑らかな写像の例を学ぶ。

4
多様体の商

商位相や商空間のハウスドルフ性等を学修し、円周とトーラスや射影空間などの商として多様体を定めることについての理解を深める。

5
接ベクトルと接空間

微分幾何学の基本的な概念である接ベクトルと接空間を理解し、それらを活用して多様体上の曲線を考察する。さらに、臨界点と正則点について学ぶ。

6
部分多様体

部分多様体の定義と例を学び、サードの定理を理解する。さらに、はめ込みと埋め込みについて学ぶ。

7
接束と余接束

接ベクトル束や余接ベクトル束の理解を深め、ベクトル束や滑らかな切断、滑らかな枠について学修する。微分幾何学の基礎的な概念を具体的に理解し、使いこなせるようになる。

8
ベクトル場

ベクトル場の滑らかさや積分曲線、フロー、かっこ積、ベクトル場の押し出しを理解する。

9
リー群とリー代数

リー群の定義と例からスタートし、行列の指数関数、リー群の接空間、そしてリー群の左不変ベクトル場を学修する。最後にリー代数について理解を深める。

10
微分形式

微分形式の基礎とその応用について学ぶ。具体的には、関数の微分、1形式、k形式の理解を深め、引き戻し、リー群上の微分形式の理論を修得する。

11
微分形式の微分

微分形式の微分とその周辺のトピック、外微分、引き戻し、リー微分、内部積、およびこれらの相互関係についての理解を深める。

12
微分形式の積分

微分形式の積分やストークスの定理を理解し、境界付き多様体や1の分割を学ぶ。また、多様体の向きについても理解を深める。

13
リーマン計量

リーマン計量の定義と存在について理解を深め、曲線の長さの算出方法を学修する。

14
測地線

測地線の基本的な概念から、その定義と具体的な例までを深く理解する。局所的最短性や接続と共変微分の理解を深め、測地流の理解につなげる。

15
ベクトル場とフロー

ベクトル場とフローの関連性を理解し、アイソトピー、フローと関数、フローとベクトル場、勾配ベクトル場の概念を把握する。

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