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科目の概要

本科目では、密接に関係する2つの物理学「熱力学」および「統計力学」を体系的に理解させる。これらはマクロとミクロの世界を繋ぐ普遍的な法則から成り、現代物理学に欠かせない理論体系である。前半の熱力学では、その基本法則の内容を具体例を通して順に解説する。後半の統計力学では、カノニカルアンサンブルを軸に様々な具体例を解析することを通じて、気体や固体のマクロな性質の理解を深めるとともに、統計力学の運用力を養う。

科目情報

履修想定年次
3年次
単位数
2単位
開講Q
2Q、4Q
科目区分
選択
授業の方法
オンデマンド科目
評価方法
確認レポート 50% , 単位認定試験 50%
科目コード
MTH-3-C1-0204-008
到達目標
熱力学の第0,1,2,3法則の内容を述べ、それぞれの意味することを具体例を交えながら説明できる。エントロピーとは何か、熱力学と統計力学のそれぞれの観点から説明できる。カノニカル分布を用いて、理想気体などの具体例において、熱力学関数を計算できる。
教科書・参考書
  • 【教科書】オリジナル教材【参考書】熱力学(三宅哲/裳華房)1989、熱・統計力学(戸田盛和/岩波書店)2017、統計力学I,II(田崎晴明/培風館)2008
授業時間外の学修
各回の授業内容は繰り返し見返し、各回二時間ほど復習を行ってください。また、次回の学修内容についてもあらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebで調べるなどして各回三時間ほど予習を行ってください。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
熱統計力学への誘い

熱力学および統計力学の基本的概念とその歴史から、日常生活との関わりまでを概観する。適切な学修方法も共有し、授業全体の理解を深める。

2
熱力学の対象と第0法則

熱力学が対象とする物理系とその状態の記述を導入する。また平衡状態の概念と熱力学第0法則の理解を深める。

3
熱力学第1法則

熱力学第1法則(エネルギー保存則)の内容を学修し、気体の圧縮と膨張を通じてその理解を深める。

4
熱力学第2法則

熱力学第2法則の内容を学修する。熱機関のカルノーサイクルを通じてその理解を深める。

5
エントロピー

熱力学サイクルの議論を通じて熱力学の核となるエントロピーの概念を導入し、その性質について理解を深める。

6
熱力学関数

系の熱力学的性質を完全に決定する熱力学関数の概念を導入し、これを用いて様々な熱力学関係式を統一的に理解する。

7
熱力学関係式

熱力学関数から導かれる様々な関係式(マクスウェルの関係式や釣り合いの条件など)を導出し、熱力学の普遍的な側面について理解を深める。

8
常磁性体の熱力学

常磁性体に熱力学の理論体系を適用し、熱力学への理解を深めるとともに、熱力学の普遍性について理解する。

9
統計力学とアンサンブル

この第9回の授業から統計力学の学修に入る。熱力学との学問的関係性を学修し、統計力学アンサンブルの考え方を学ぶ。

10
理想気体の統計力学1

古典理想気体という具体例に統計力学を適用する。この実践を通じて統計力学の思考法に習熟する。

11
格子振動の統計力学2

固体結晶の格子振動の調和振動子モデルに対して統計力学を適用し、さらに統計力学の理解を深める。

12
理想気体の統計力学2

2原子分子の古典理想気体を統計力学的に解析し、理想気体の熱力学の振る舞いについてさらに理解を深める。

13
磁性体の統計力学1

磁性体の物理を統計力学で考察し、統計力学にさらに習熟する。磁性体のイジングモデルを理解し、運用できるようになる。

14
磁性体の統計力学2

平均場近似を用いてイジングモデルの統計力学を解析し、常磁性・強磁性転移について理解を深める。

15
統計力学の基礎付け

統計力学アンサンブルの正当性について、熱力学との整合性を根拠に基礎づけを与える。異なるアンサンブルの等価性についても理解を深める。

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