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科目の概要

古代の測量術に始まり、微分とともに近代科学の基盤となった積分の概念は、数多くの数学者の努力を経て厳密かつ実用的なものとなった。本授業においては、積分を「線型汎関数」として捉える立場から、確率論や統計学を始めとする数多くの学問領域において重要な「ルベーグ積分」や「測度」の理論を学んでいく。その過程で、量子論の基礎数理とも関係し近年では機械学習等の応用においても存在感を増す「関数解析」の考え方にも親しんでいく。 本科目は演習科目に位置付けられ、学生の積極的な参加、問題演習への取り組みが求められる。

科目情報

履修想定年次
3年次
単位数
2単位
開講Q
1-2Q
科目区分
選択
授業の方法
演習科目
評価方法
レポート70% , グループワーク30%
科目コード
MTH-3-C3-1200-012
到達目標
「総和」の概念についての明晰な理解に基づき、積分論の考え方の骨格を身につける。具体的には、連続関数の積分からダニエル積分に至る道筋を微積分の基礎事項を知る人に説明できるようになり、積分と測度の関係を正確に述べることができるようになり、積分論の諸定理をその前提を明確にして活用できるようになる。
教科書・参考書
  • 【教科書】ルベーグ積分と測度(山上滋/裳華房)2022【参考書】指数関数ものがたり(西郷甲矢人・能美十三/日本評論社)2018、L.H.Loomis,AnIntroductiontoAbstractHarmonicAnalysis(L.H.Loomis/Dover)2022
授業時間外の学修
各回の学修内容について、あらかじめ不明な単語や前提となる知識をWebなどで調べ、二時間ほど予習を行う。予習用に配られた資料がある場合、必ず目を通す。
特記事項
順次公開予定

授業計画

1
復習:実数から広義積分まで

1回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

本ゼミの学修で必要となる基礎事項のうち、「微積分の補足」に当たる事項を理解する。特に、特定の順序に依存しない「総和」の概念などを身につけることで、今後の学修の基盤を作る。

2
基礎概念の準備

2回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

距離・位相・連続関数・完備性・バナッハ空間・コンパクト性・一様連続性・一様収束などの基本概念を準備し、連続関数の積分の概念を確立する。

3
ダニエル積分1

3回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

連続関数以外の関数についても適用できる「良い」積分概念を定義するため、ベクトル束・線型汎関数といった基本事項の理解の上に、「積分の拡張」の概念を確立する。

4
ダニエル積分2

4回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

積分の収束定理を理解し、「積分論的に無視できる」「積分論的に等しい」などの概念に慣れる。リーマン積分との関係についても触れる。

5
積分と測度1

5回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

可測集合・測度などの概念を「積分論的に」定義する。また、「積分から測度へ」「測度から積分へ」の行き来ができるようにする。

6
積分と測度2

6回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

可測関数の概念を確立するとともに、「積分と測度の行き来」のあり方についてより精密に理解し、ここまでのまとめを行う。

7
くり返し積分

7回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

くり返し積分の概念を理解する。パラメータ付き積分・くり返し積分の拡張・直積測度などを扱う。「ラドン変換」や「たたみこみ」の概念にも触れる。

8
問題演習1

8回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ダニエル積分の概念、積分と測度の関係、くり返し積分などに関わる問題演習を行う。

9
L^p空間

9回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

L^p空間の概念を理解する。特に、L^p不等式・L^2内積とフーリエ展開・射影定理などの話題を扱う。

10
密度定理と双対性

10回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

密度定理と双対性について理解する。有界汎関数の概念からはじめて、積分の順序と密度・普遍L^p空間・変動と極分解・L^p空間の双対性などの話題を扱う。

11
単調族と可測性1

11回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

単調族と可測性について学ぶ。単調包・積分の単調拡大・単調切り取り・単調包と可測性・単調包と測度などの話題を扱う。

12
単調族と可測性2

12回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

引き続き単調性と可測性について扱う。さらにそれを踏まえてダニエル積分やくり返し積分などの概念をより深く理解する。

13
ラドン測度

13回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

ラドン測度について学ぶ。ベール集合とベール関数・正汎関数とベール測度・一点コンパクト化・有界汎関数と正則測度・射影極限とラドン測度について扱う。

14
問題演習2

14回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

L^p空間、密度定理と双対性、単調族と可測性・ラドン測度などに関わる問題演習を行う。

15
展望

15回開講日時:
2099年4月1日(水) 00時00分より

これまで学んだことを振り返り、積分論の骨格をまとめる。積分論を基盤とした現代数学の展開についても触れる。

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